医局を離れるメリットとデメリットを解説!将来のビジョンを明確にした転職を

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公開日:2017.12.15

医局を離れるメリットとデメリットを解説!将来のビジョンを明確にした転職を

医局を離れるメリットとデメリットを解説!将来のビジョンを明確にした転職を

医局を離れるメリットとデメリットを解説!将来のビジョンを明確にした転職を

医師が次のキャリアアップを考えた際、選択肢のうちの一つとしてあるのが転職です。転職をすると、医局に所属している人は医局を離れるということになります。

しかしこのまま医局にいた方がいい場合と、医局を離れる方が次のステップに繋がる場合とがあります。安易な考えで医局を離れてしまっては、後で後悔することにもなりかねません。

そこで今回は医局を離れることのメリットとデメリットを紹介すると共に、離れる決断をした際にどのような方法を取れば良いのか詳しくご紹介していきます。

医局について

医局とは医局制度のことを言います。医師の世界における団体組織で人事制度の一つであり、日本特有の制度です。医局人事の構成は各科の教授を頂点にして主任教授・准教授・助教授・医局員など様々な医師で成り立っています。

大規模な医局であれば100名以上の医師で構成されている組織もありますが、ピラミッド型のヒエラルキーのような組織となっているため、派閥や理不尽な人事に対して悩みを抱える医師も少なくありません。

ただ、2004年の新臨床医研修制度によって医局を離れて新たなキャリア形成を考える医師が増えたこともあり、これまで持っていた医局の権力のバランスが崩れつつあります。

医師が医局を離れることを考える理由とは?

上記でお話した通り、医局は絶対的なヒエラルキー組織のため、様々な不遇を受けて医局を離れることを考える医師も少なくありません。ここでは医師が医局を離れることを考える理由として特に多いものをまとめてみました。

医局内の人事や人間関係などの悩み

医局を離れる理由として最も多い理由が、医局内人事や人間関係に関する悩みです。医局に所属していれば医師全員が納得のいく人事や待遇を受けられるワケではありません。しかし、医局内で決まったことは絶対的権力のようなものもあるため受け入れざるを得ないのです。

また医局内には派閥が存在するため、医師同士の競争や対立も珍しくありません。これらは医局に所属している限りついて回る問題ですので、医局を離れる決断をする人が多いのです。

現場で積める経験数に対する不満

大学病院では珍しい症例や高度な技術の習得をすることができる環境が揃っています。そのような技術の習得を目指す医師は、一旦医局を離れ、民間病院で経験を積んでから戻る選択をする人も少なくないようです。

また医師の数が多いため、必ずしも自分が希望する症例が回ってくるとも限りません。
それに対して民間病院の医師として勤務する場合、医師や看護師の数や医療設備も最小限の環境で患者を受け入れることになります。また様々な症例の患者が診察・搬送されてくるため、大学病院に比べて現場での経験は圧倒的に多く積めるのです。

給与に対して仕事の負担が大きい

大学病院の医師は、医師の中では決して高い給与とは言えません。医師としての勤務に加えて研究に携わることも多いため、給与に対する仕事量の負担が大きくなっています。給与面での待遇改善を希望する医師にとって、大学病院では限界があるため医局を離れることを考える医師が多いようです。

医師としての将来に対する不安

医局に所属して長く働くうちに、将来に対するキャリアを考えることがあります。医局内人事は組織的な権限が強いため、自分の希望通りにならないことも多々あります。そんな中で医局に所属し続けることに対するメリットが感じられなくなり医局から離れることを考えるようです。

自身の実力や成果次第でいくらでもキャリア形成ができる医療機関への転職を希望する人もいます。

医局を離れることのメリット

医局を離れることを考える医師にとって、実際に医局を離れた場合にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

医局内の派閥や人間関係のストレスから解放される

おそらく医局を離れて転職したいと考える医師が抱える理由として最も多いのが「医局内の派閥や人間関係によるストレス」でしょう。具体的には「理不尽な医局人事に対するストレスが大きい」あるいは「医局内の派閥に馴染めず仕事がしづらい」「医局内の医師や教授との関係が良くない」などが挙げられます。

医局人事は絶対的なヒエラルキー社会であるため自分のチカラで現状を変えることはとても困難なことです。しかし、医局を離れることでこれらのストレスやしがらみからは解放されるため、医師として思い通りの働き方ができるようになるのです。

現場経験がより積めるためキャリアアップが早くなる

医局に所属する場合は、現場での仕事以外にも研究業務があります。そのため本来様々な症例を受けたい医師にとっては大きな壁となります。

しかし、医局を離れることで現場を経験できる場数は大幅にアップしますし、早い段階で現場経験を積むことでキャリアアップも早く実現することが可能です。

給与アップが見込める

医局に属する医師は、技術だけでなく研究結果や実績なども含めて評価されます。また医局内での地位も関係してくるため、医師としての技術に優れている場合でも給与が上がりにくいと言われているのです。

医局を離れるために人材紹介会社や転職サイトを利用して転職する人も増えていますが、技術に見合った給与条件を提示してくれる病院はたくさんあることに気づくでしょう。最近はどの病院も医師の人材確保に力を入れているため、医局のような地位や権力などは関係なく評価してもらえるため給与アップが見込めるのです。

独立開業への道が開ける

先ほどの現場経験が積めるという考え方に似ていますが、医局を離れて他の病院で院長になったり病院経営側の経験を積んだりすることで、独立開業の道が開ける可能性が出てきます。

医局に所属しながら現場経験を積んだとしても、独立開業するとなれば病院経営の経験も必要となってきます。転職をすることで、将来的に病院を経営する側の経験が積めるチャンスはより広がるはずです。

医局を離れることのデメリット

医局を離れることで抱えている悩みが解決する医師もいますが、その反面様々な待遇や環境などを失ってしまうデメリットも少なからずあります。

学位取得の道を失う

医局に入ることで医学博士号という学位を取得することができます。この学位を取得しているかどうかは、今後医局内でキャリアを積むことを考える医師にとって大きな影響を及ぼします。学位取得を諦めることは医局内のキャリアステップも諦めることになる可能性が高くなります。

また転職を考える際も、大学病院で学位を取得していれば給与や地位などあらゆる面で高待遇を受けられる可能性が高いのですが、そのチャンスも失うことになります。

さらに、専門医の資格取得を目指す医師にとっても医局を離れることでチャンスを失うことになります。医局を離れて専門医の資格を取得する医師もいますが、選択する診療科によっては医局でしか取得できない資格もあります。

ただ、一般的な医師として今後働くのであれば必ず学位の取得が必要となるわけではないため、学位取得に費やす時間を、現場経験を積んでキャリアアップを目指す時間にしたいと考える人も珍しくはありません。

医局に属して長く働くことや研究医師への道に進みたいことが明確なのであれば、学位取得は必要となるでしょう。

人脈形成の幅が狭まる可能性がある

大学病院には医師の数も多く、スキル・キャリア共に豊富な医師もたくさんいます。上級医師について高度なスキルを学べることや、そこから人脈形成できるのも医局の魅力です。

また医局に属する医師は色々な病院へ派遣される機会も多いため、そこで人間関係の繋がりが増える機会も多くあります。

転職先によって違いがある部分ではありますが、医局を離れるとそういった機会が減ってしまうことも考えられ、人脈形成の幅が狭くなってしまう可能性はあるでしょう。

幅広い知識やスキルが求められる

先ほど医局から離れたいと考える理由として、「給与に対して仕事の負担が大きい」という話をしました、医局を離れて民間病院などに転職すれば給与アップの可能性は高くなりますし、プライベートとのバランスをとりやすくなります。

ですが民間病院の場合は、医療設備や医師・看護師の人数などが必要最低限であるケースも珍しくないため、医師一人に対して求められる知識やスキルは幅広くなることがあります。そのため専門的な知識や技術よりも様々な患者に柔軟に対応できるスキルが求められるようになることもあり得そうです。

大学病院に比べれば仕事量で考える負担は減ることが期待できますが、仕事の幅で考えると求められる内容が増えることも考えられるでしょう。

医局を離れる決断をした際にはどうすればいいか?

医局を離れることで生じてくるデメリットについてお話ししてきましたが、それでも最終的に医局を離れる決断をした場合どう動けばいいのでしょうか。

ここでお伝えしたいことは主に2つです。 一つは医局を離れると決めたらすぐ教授に報告することです。医局人事は入れ替わりがあるので、突然辞めることを告げると教授に迷惑がかかりますし担っている役割が大きければ大きいほど混乱を招きます。

また医局人事が新しく編成されるタイミングになってしまうと、離れるタイミングを失ってしまいます。転職先を探す期間なども計算して、早めに離れる意志を伝えておきましょう。

もう一つは円満な関係で医局を離れることです。医局人事の影響力はとても大きいため、トラブルなど最悪な関係で医局を辞めることになってしまった場合、その後の転職活動に影響を及ぼす可能性もありますし、自身の評価を下げてしまう可能性もあります。

人間関係などの悩みで医局を離れる決断をする人も多いですが、円満な形で離れられるよう工夫や準備をしておきましょう。

今回は医局を離れるメリットとデメリットについて解説してきました。 医局内の派閥や人間関係などあらゆる悩みで転職を考える人が多いですが、医局を離れる際メリットとデメリットそれぞれを考えた上で次の転職先を明確にする必要があります。

また医局を離れた後でも新しい環境で気持ちよく働くためには円満な形で離れられるよう早いうちから考え、準備しておく必要があります。

ドクタービジョン編集部

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