患者や家族とのコミュニケーションの取り方

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働き方

公開日:2019.04.16

患者や家族とのコミュニケーションの取り方

患者や家族とのコミュニケーションの取り方

医師はスキル面はもちろん、コミュニケーション能力も重要と考えられています。医師がコミュニケーションを取る必要のある相手は、患者や同僚、他の診療科の医師、コメディカルのスタッフ、患者の家族と多岐に渡ります。特に患者やその家族とコミュニケーションを取る時に、医師はどのようなことに気を付ければよいのでしょうか?

1:医師にとってコミュニケーション能力は必須技能

医師にとってコミュニケーション能力はほぼ必須技能と言ってよいスキルになっています。ほぼすべての医師が患者と接する必要がありますが、患者が安心して治療を受けるためには医師のコミュニケーション能力が非常に重要です。

医師の話し方はともすれば理論的なものとなってしまい、非常に硬い印象を与えてしまうことがあります。しかし人間は理性だけで動いているわけではなく、感情があります。感情面に配慮した話し方をしないと患者が不安に思い、医師が思い描く治療を拒否してしまうことがあります。

家族に対して患者の状態や治療方針を説明するときも同様です。理論の面では正しいことを言っているとしても、特に重篤な病気の患者の家族はとてもナイーブな精神状態となっています。理論の面から理性的に話しても、納得を得られないケースがあります。このような状況を避けるためにも、患者やその家族の精神や感情に沿うようなコミュニケーション能力を身につける必要があります。

2:コミュニケーションは習得可能な技術

コミュニケーション能力は、生まれ持った性格によって得意かどうかが異なると思われがちです。しかしコミュニケーション能力は習得可能な技術で、現在ではコミュニケーション能力を高めるための講座も複数あり、コミュニケーション能力を高める研修を行う病院も増えてきています。

コミュニケーションを構築している主な要素の一つは、「聞くこと」です。患者が自分の病気に対してどのような気持ちでいるのか、どのようなことに恐怖や不安を抱えているのか、患者の家族はどのような気持ちで患者を見守っているのか、このような精神的な不安などを引き出すのが聞く技術です。

もう一つは「話すこと」です。医師をしている以上、患者に対して言いたくないことを言う必要が出てきます。例えばがんの診断を患者に伝えるときなど、重篤な病気であればあるほど患者のショックも大きくなります。病気の状態は正確に、しかし必要以上の不安や恐怖を煽らないように言葉を選んで対話することが話す技術です。

3:医師のコミュニケーションのコツ

① 清潔感のある格好を

一見、コミュニケーションと何ら関係がないように思えますが、清潔感というのは「話しやすいと思われるかどうか」に直結すると言えます。髪の毛がボサボサでシワだらけの白衣を着ているような医師よりも、しっかり髪をまとめてアイロンがかかった白衣を着ている医師の方が、話しやすい印象となるのは当然のことです。清潔感のある格好をすることはコミュニケーション以前の社会人としての義務なので、毎朝身だしなみのチェックはしっかりするようにしましょう。

② 最初は簡単な話題から

患者と話すときは何らかの話したいメインテーマがあるはずです。それが風邪などの軽いものならば、いきなりメインテーマを話してしまっても問題ありません。しかし病気が重篤なものであればあるほど、簡単な話題から入ると患者は必要以上に不安にならずにすむでしょう。

③ 気に掛けていることを伝える

医師である以上、特定の患者に必要以上肩入れすることはできません。しかし患者は不安な気持ちになっていることも多いので、できるだけ自分を気に掛けて欲しいという気持ちはあるでしょう。こういう時にできる範囲でいいので、気に掛けていることを患者やその家族に伝えると、患者はより安心して治療を受けることができるでしょう。

入院でも外来でも、軽くでいいので患者と雑談をするとよいでしょう。話題は天気のことでも、特定の趣味のことでも、ご家族のことでもなんでも構いません。どんな内容のことを話したか覚えておき、次に会った時に「そういえばこの前話したことはその後どうですか?」といったように、しっかり一回一回の診療を覚えていることを伝えるようにします。入院している患者であるならば、無理のない範囲で足を運ぶのも有効です。医師が気に掛けてくれて頻繁に会いに来てくれるという事実だけで、患者の精神的な不安は改善されることもあります。

ドクタービジョン編集部

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