人間関係にストレスを感じる医師が実践すべきコミュニケーションのコツ

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働き方

公開日:2019.10.01

人間関係にストレスを感じる医師が実践すべきコミュニケーションのコツ

人間関係にストレスを感じる医師が実践すべきコミュニケーションのコツ

医師の多くが職場の人間関係で悩んでいます。医局内の上下関係や対立、看護師・薬剤師・コメディカル・事務スタッフといった他職種との連携など、医師の人間関係は複雑です。今回は、職場での人間関係を改善する方法について解説します。

医師の人間関係が複雑な理由

医師の人間関係が複雑な理由

人間関係の悩みはどのような人であれ、大なり小なり抱えているものです。しかし、医師の場合は、ほかの職種や職場と比べて複雑だと言われています。その理由は大きく3つに分けられます。

医局や部門間の権力闘争

勤務医が悩みやすい人間関係での問題の一つが、大学時代から続く医局内での派閥争いや上下関係です。医局では上下関係がはっきりと決まっているため、将来的に出世を目指すのであれば、医師としてのスキルに加えて医局内でうまく立ち回るスキルを身につけることが欠かせません。

医局によって人事が決まる、いわゆる「医局人事」に悩む場合もあります。医局人事は医師不足の地域や診療科に医師を配置できるメリットもありますが、医局の上下関係によって、異動を断れないケースがほとんどです。そのため、異動先によっては思うようなキャリア形成が難しくなったり、プライベートとの両立がしにくかったりすることも考えられるでしょう。

人事異動による環境の変化

異動による環境の変化も医師が悩みやすい要因の一つでしょう。「前職での常識が異動先で通用しなかった」というケースはよくあります。同じ職種や診療科であっても、職場によってルールや雰囲気が異なるのは避けられないことかもしれません。

また、医師としての経験をどれだけ積んでいても、その職場では新人です。高圧的な態度は決して取らず、積極的に話しかけたり、わからないことがあれば都度同僚に聞いたりと、それをきっかけにして親交を深めるなどの工夫をしましょう。

多職種との関係構築

医療サービスを提供する際、同僚の医師や看護師、コメディカル、事務スタッフなどとの連携が必要になるケースは多々あるでしょう。日頃から雑談などの気軽なコミュニケーションを取っておくことで、業務上の連絡もスムーズに行えるようになります。

また、医師だからといって看護師やその他のスタッフに対して「上から目線」な態度を取ることは好ましくありません。同じ患者さまの担当でも、それぞれの職種で見えている部分は異なります。どのような場合でも、相手を尊重する気持ちを忘れずに接することが大切です。

ストレスのない人間関係にはコミュニケーションが必須

ストレスのない人間関係にはコミュニケーションが必須

人間関係のストレスを軽減するには、充分なコミュニケーションが必要です。良好な人間関係を築くために、以下の2つを心がけましょう。

なるべく職場の人と話をする

一つ目は、なるべく職場の人と話をすることです。なかには自分から話しかけるのが苦手な方もいるでしょう。しかし「自分には向いていないから......」と一歩引いてしまったり、受け身になったりするのではなく、自分から話すように意識することが大切です。また、同じ職種や診療科のスタッフだけでなく、ほかの職種や診療科、部門のスタッフにも普段から話しかけるようにしておくと、業務上の連携も取りやすくなります。

会話の内容は、患者さまの様子など業務に関することや、今日の天気、職場近くのランチ情報、趣味や休日の過ごし方など、一般的な雑談から話題を広げていくことがおすすめです。そこから数人で食事に行ったり、趣味が合えば休日に一緒に趣味を楽しんだりして親睦を深められます。雑談が苦手であれば、あいさつだけでも構いません。「○○さん、おはようございます」と相手の名前を添えてあいさつすると、相手からの印象は大きく変わります。さらに、相手の名前を覚えるきっかけにもなるでしょう。

感謝の気持ちを伝える

仕事は自分一人ではなく、それぞれの職種がそれぞれの役割を果たすことで成り立っています。「患者さまについて気になる点を相談してくれた」、「書類を届けてくれた」、「自分が対応できないときに代わりに担当してくれた」......など、どのような些細なことも感謝の気持ちを伝えるよう心がけましょう。「お土産をもらった」などの業務に直接関係のなくても、一言明るくお礼を言うだけで良い印象が与えられます

また、プライベートでお世話になったり、相手に大きな負担をかけたりした場合には、相手が受け取って困らない金額のお菓子やお茶などを添えてお礼をすると、今後も良好な関係を築けるでしょう。

同僚との接し方

同僚との接し方

同僚と良好な人間関係を築くには、どのように相手に対して接すると良いのでしょうか。ここではおさえておきたい2つのポイントを紹介します。

明るく丁寧に接する

同僚とコミュニケーションを取る際に大切なのは、「明るく丁寧に接すること」です。同じ内容を伝えるときでも、明るく丁寧に接した場合とそうでない場合では、前者のほうが印象が良くなります。なるべく笑顔を心がけ、相手に伝わりにくい言葉になっていないかを意識して話してみてください。

ホウレンソウ(報告・連絡・相談)の徹底

どのような仕事でも、ホウレンソウ(報連相:報告・連絡・相談)は大切です。ホウレンソウを怠ったために業務でトラブルが起きた場合、今まで築いてきた信頼関係は一気に崩れてしまいます。些細なことであっても、ミスならなおさらホウレンソウを欠かさず行いましょう。適切なホウレンソウを行うことで、トラブルを未然に防いだり、より重大なトラブルに発展する前に対処できたりします

逆に、部下や後輩、他職種のスタッフからホウレンソウを受けることもあるでしょう。その場合は、まず報告や相談をしてくれた彼らに対して感謝の気持ちを伝えましょう。たとえ業務上のミスなどのネガティブな内容であっても、先に感謝を伝えてから必要な対処を行うことで、相手との信頼関係を築けます。

どうしてもつらい場合は転職の検討も

どうしてもつらい場合は転職の検討も

前述のような人間関係改善のための工夫を実践してみても、なかなか良い方向に変わらないケースもあります。そのようなときは、転職活動を検討してみるのも一つの手です。

転職で関わる人を変えてみる

医師の人間関係は複雑なため、自分一人ではどうにもならない場合もあります。しかし、転職によって関わる人たちを変えれば、今よりも良好な人間関係を築ける可能性があります。

転職先に求める条件は明確にしておく

しかし、転職にはリスクもあります。とくに人間関係を理由に転職する場合には、転職の理由を正直に採用側に伝えることが不利になるケースも考えられます。転職によって人間関係の改善以外に何を叶えたいのか、明確な条件や目標を持つことが大切です。

医師の転職は、他職種の転職と異なる部分があります。「転職で失敗したくない」、「次の職場でも人間関係に悩むのは避けたい」と考えるのであれば、医師専門の転職コンサルタントに相談すると良いでしょう

転職を検討する前に改善のための努力も必要

医師は「医局の派閥争い」や「他職種との連携」など特有の人間関係で悩みがちです。しかし、日々の心がけや少しの工夫で状況は変えられます。

まずはできる限り改善のための努力を行い、転職すべきかどうかを検討してみましょう。

ドクタービジョン編集部

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