医師が増税で受ける影響とは?節税テクニックなどもご紹介

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公開日:2020.01.07

医師が増税で受ける影響とは?節税テクニックなどもご紹介

医師が増税で受ける影響とは?節税テクニックなどもご紹介

2019年10月、消費税が10%に引き上げられました。医療や介護、子育てと言った分野に活用することが目的とされています。背景には、少子高齢化が進み、医療や介護の需要が増え続けていることが考えられるでしょう。では、この増税は医師にとってどのような影響があるのでしょうか?

医師が増税で受ける影響とは?

いまのところ、医師が増税により受ける影響はほとんどありません。生活費が底上げされる以外の影響を感じている医師は少ないでしょう。ただし、増税に伴い薬価が改訂されたことから、薬剤費の売り上げの割合が多い病院では影響を受けている可能性があります。
なお、その分医療費は上がっています。初診料60円・再診料10円とそれぞれアップしているのです。医療費に消費税は課税されませんが、医療機関の運営に必要な備品・医療器具・医療機器には消費税が課税されます。これらの仕入れ負担が大きくなったにも関わらず、窓口収入では消費税が課税されないため、医療機関の負担のみが増加する形となってしまいました。それを軽減するために、医療費が若干上がっているようです。開業医にとっては多少の影響があるのかもしれません。 

医師にとっての節税の手段

増税の結果、収入の中から自由に使える可処分所得は減少してしまいます。それをカバーするためには節税を考えなければいけません。節税にあたって、注目したいのは「所得税」。現在の日本では、『累進課税制度』を採用しています。年収が上がれば上がるほど税率が高くなっていくという制度です。

<所得税の速算表>

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0
195万円を超え、330万円以下 10% 97500円
330万円を超え、695万円以下 20% 427500円
695万円を超え、900万円以下 23% 636000円
900万円を超え、1800万円以下 33% 1536000円
1800万円を超え、4000万円以下 40% 2796000円
4000万円超 45% 4796000円

医師の場合、基本的に給与水準が高いため、黄色い部分の税率になる人が多いのではないでしょうか。また、10%程度の住民税も負担することとなります。基礎控除などがあるため、給与の全額にこの税率が掛かるわけではありませんが、それでもやり切れない気持ちになっても仕方のない税率ではないでしょうか。では、どのように節税すべきでしょうか。不動産投資など効果の高い方法もありますが、その分難しかったりリスクが高かったりもします。ここではお手軽に節税できる方法を紹介していきましょう。

iDeCo(イデコ)

『iDeCo』とは、端的に言うと自分でつくる年金制度です。加入者は一定の金額を自分が指定した金融商品に投資します。そうして形成された資産は、60歳以降に年金として受け取ることができるのです。通常、資産形成のために投資しても控除されませんが、iDeCoは投資した金額が全額控除されるため所得税や住民税の軽減に役に立ちます。たとえば、30歳から60歳まで月2万円の掛け金の場合、30年間で約250万円の節税効果があります。老後資金を増やす効果もあり、一石二鳥と言えるでしょう。

小規模企業共済制度

小規模企業共済制度は、個人事業を廃業するとき、積み立ててきた金額を受給できる制度のことです。開業した医院を子どもに譲るときも受給できます。つまり、受給する金額は退職金としての性質が大きいもので、事業所得や給与所得と比べると税率が低くなります。また、掛け金は全額所得控除されるため、所得税と住民税の減税効果が期待できるでしょう。開業医は勤務医と異なり退職金がないため、将来的な老後資金をつくるためにも加入することは有効と考えます。

<例外>医師年金

医師年金は、日本医師会会員のための積立型私的年金です。公的年金は現役世代の保険料で高齢者を支える仕組みですが、医師年金は本人が積み立てた資金が本人の将来の年金になるという仕組みなので安定しています。これは掛け金を控除すできないため、厳密には節税とは異なりますが、リスクの低い金融商品として考慮する価値があります。

ドクタービジョン編集部

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