年間10万円を超える医療費がかかった場合に適用となる「医療費控除」の対象にならないものは次のうちどれ?

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公開日:2022.08.09

年間10万円を超える医療費がかかった場合に適用となる「医療費控除」の対象にならないものは次のうちどれ?

年間10万円を超える医療費がかかった場合に適用となる「医療費控除」の対象にならないものは次のうちどれ?

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    2の「健康診断費用」は、医療費控除の対象にはなりません。ただし、健康診断の結果により重大な疾病が発見されて治療した場合は健康診断費用も対象になります

    1の「通院費用」は、電車やバスなど公共交通機関を利用した場合と、病状によってやむを得ずタクシーを利用した場合も対象になります。ただし、自家用車を利用してガソリン代や駐車場代がかかった場合は対象にはなりません。また、里帰り出産のため帰省する際の交通費も対象外です。

    3の「家政婦に支払う付き添い費用」や療養上の世話代なども対象になります。ただし、家族や親類縁者に同じような金銭の支払いをしても対象にはなりません。

    本肢のほかに、「入院の部屋代(差額ベッド代)」は状況により控除の対象となることがあります。個室を希望したのであれば対象にはなりませんが、4人部屋が満室で仕方なく個室になったケースでは対象になります。もとより個室しかない産院などは、選択の余地がないため控除の対象です。なお、入院時に病院で支給される食事代も控除の対象になります。また、最近ではトラブル防止のため受け取らない方針の病院もありますが、「医師や看護師に対するお礼」は診療の対価ではないため対象外です。そのほか、入院の際には準備も含めてさまざまな費用が発生しますが、すべてが控除の対象にはなりませんので注意しましょう。

    そもそも医療費控除とは、納税者本人または同一生計の配偶者や親族に対して医療費を支払った場合に適用できる所得控除の一つです。配偶者や親族に扶養の要件はないため、家族の中で所得税の税率が最も高い人が医療費を全額負担して、医療費控除の申告をすると節税効果が最大になります

    医療費控除は年末調整で控除できないため、確定申告をすれば所得税が還付されます。支払った医療費の全額ではなく、原則として10万円を超えた医療費を所得から控除します。

    ただし、以下のような医療費補填の目的で支給された金額は医療費から控除します

    ・健康保険から支給される出産一時金や高額療養費
    ・民間保険会社から支給される医療保険金や入院給付金 など

    なお、出産手当金や傷病手当金および見舞金など、賃金補填の目的で支給された金額は医療費から控除しません。

    保険診療に限らず、医師の指示で行う自由診療も控除の対象です。数百~数千万円の高額な医療費がかかる場合、200万円が控除額の上限になることを覚えておきましょう。美容や予防および健康増進のための費用や薬代は対象外です。

    重要POINT

    • ・「健康診断費用」は重大な疾病が発見されて治療した場合は対象となる
    • ・「通院費用」は電車やバスなどの公共交通機関を使用した場合に対象となる
    • ・「家政婦に支払う付き添い費用」も対象となるが、親族や親類縁者への支払いは対象外
    • ・保険診療に限らず、高額な医療費がかかる場合、200万円が控除の上限となる

    長沼 満美愛

    監修者:長沼 満美愛

    ファイナンシャルプランナーCFP(R)・1級FP技能士

    神戸女学院大学卒業後、損害保険会社に就職。積立・年金・介護など長期保険に特化した業務を担当。そのあと、FP協会相談室の相談員として従事。現在、大学・資格の学校TAC・オンスク.JPにて資格講座の講師として活動するかたわら、セミナー講師や執筆も手がける。『あてるFP技能士1級』(TAC出版)を執筆。毎日新聞「終活Q&A」・みずほ銀行WEBサイトコラム寄稿。毎日新聞生活の窓口相談員。塾講師・家庭教師の豊富な経験を活かして、「誰でも分かるセミナー講師」・「親身なFP個別相談」をめざす。

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