1か月60時間超の時間外労働で、2023年4月より中小企業規模の病院でも法定割増賃金率が引き上げに。何%になる?

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公開日:2022.11.29

1か月60時間超の時間外労働で、2023年4月より中小企業規模の病院でも法定割増賃金率が引き上げに。何%になる?

1か月60時間超の時間外労働で、2023年4月より中小企業規模の病院でも法定割増賃金率が引き上げに。何%になる?

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    労働基準法には3種類の割増賃金があります

    1.「法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える時間外労働」には25%以上
    2.「法定休日(週1日)の労働」には35%以上
    3.「22時から5時までの深夜労働」には25%以上

    上記それぞれの率で計算した割増賃金を支払うよう使用者に義務付けられています。

    今回のケースでは「1」において、時間外労働時間数を累計して月60時間を超えた場合に割増率が50%以上となります

    これまでの月60時間を超える法定割増賃金率は、中小企業規模の場合が25%・大企業規模の場合が50%と、企業規模により異なる割増率を適用していました。しかし、2023年4月の労働基準法改正により、中小企業規模の病院(※1)においても法定割増賃金率が50%に引き上げられます

    ※1...中小企業規模の病院とは、常時使用する労働者が100人以下または出資の総額が5,000万円以下の病院(出資持分のある医療法人)を指します

    これにより2023年4月からは、労働基準法の規定による法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超過した時間外労働が月60時間超になった場合、勤務している病院の規模に関わらず50%以上の率で計算した割増賃金が支払われるようになります。

    勤務医は、患者さまの容態急変などで昼夜を問わず緊急に呼び出されることも多く、心身の負担になっているケースが少なくありません。過重労働による医師不足が将来的にも深刻ななか、医師の健康を保持し、より安全な医療を提供していくためにも、勤務環境の整備と改善は喫緊の課題です。

    勤務医は、2023年4月改正の「法定割増賃金率の引き上げ」について理解し、病院から割増賃金が正しく支払われているかを確認するようにしましょう。


    重要POINT

    ・2023年4月からの労働基準法改正により、中小企業規模の病院においても、時間外労働時間数を累計して月60時間超えた場合に支払われる法定割増賃金率が50%に引き上げられる

    ・改正後は、勤務先から割増賃金が正しく支払われているかを確認しましょう

    長沼 満美愛

    監修者:長沼 満美愛

    ファイナンシャルプランナーCFP(R)・1級FP技能士

    神戸女学院大学卒業後、損害保険会社に就職。積立・年金・介護など長期保険に特化した業務を担当。そのあと、FP協会相談室の相談員として従事。現在、大学・資格の学校TAC・オンスク.JPにて資格講座の講師として活動するかたわら、セミナー講師や執筆も手がける。『あてるFP技能士1級』(TAC出版)を執筆。毎日新聞「終活Q&A」・みずほ銀行WEBサイトコラム寄稿。毎日新聞生活の窓口相談員。塾講師・家庭教師の豊富な経験を活かして、「誰でも分かるセミナー講師」・「親身なFP個別相談」をめざす。

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