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手術による外科的アプローチによって患者さまの体の外側から働きかける治療を専門とするのが外科です。手術では、病変部の切除、病変に伴う滞留物の除去、ペースメーカーなど人工物の埋入を実施します。使用する道具も、メスやレーザー以外に腹腔鏡や胸腔鏡など様々です。
本記事では、外科医を目指している方に向けて、外科医に向いている人の特徴や仕事内容、転職する際に押さえておきたいポイントについてご説明します。
外科医の仕事内容
一言で外科と言っても、様々な領域があります。たとえば、脳と隣接する神経を扱うなら脳神経外科、胃や腸管など消化器全般なら消化器外科、尿道・膀胱・生殖器なら泌尿器科といった具合に、扱う臓器や部位ごとに診療科が細分化します。
そのため、本記事では特定の外科領域ではなく、外科全般に共通する仕事内容を紹介します。
診察および各種検査の実施
外科医は、患者さまとご家族への問診とレントゲン撮影やMRI、CTなどの各種検査を実施し、その結果から病気やケガの状態を把握して傷病名の診断をします。薬物治療が必要と判断したら処方箋を作成し、手術を適用すると判断した場合にはどのような術式で行うかを検討します。このとき、手術による体への影響を考慮して患者さまが手術に耐えられる状態にあるかもあわせて判断します。
そのうえで外科医師が考案した手術計画の詳細を、患者さまとそのご家族にご説明し、内容に同意いただけたら手術に向けた準備を開始します。
手術および前後の業務
外科で実施する処置には、患部の洗浄や縫合といった内容から、複数の執刀医と共同で数時間単位におよび実施する大がかりな手術まであります。
患者さまが心身ともに安全な状態で手術を受けられるよう、術前管理では、レントゲン撮影、血液検査、心電図、尿検査、呼吸機能検査などを実施し、患者さまの全身状態を把握します。また、術前管理の一環として、栄養管理や術前リハビリも一緒に実施します。
手術は、治療計画と術式に則って進めます。患者さまに麻酔が効いてからメスを入れて、病変部位そのものや病変部位による影響を受けていた部分を取り除きます。交通外傷による手術では、外傷部位の修復を試みます。心臓の手術では、人工血管やペースメーカーのように人工物の埋入を実施することもあります。
術後は、メスを入れた部分の回復状況と、手術による合併症の兆候や有無などを入念に確認し、必要に応じて処置します。術後の経過を見て、抜糸の実施やリハビリテーションに向けた指示出しを行うのも外科医の仕事です。
上記以外の業務
診療業務以外に、学術面での業務もあります。
院内カンファレンスをはじめ外部の症例検討会や研修会に参加して技術や知識のブラッシュアップを行います。また、書籍や学術論文を読み込み、最新の医療情報と動向のキャッチアップなどの自己研鑽も欠かせません。学会シーズンになると、学会への出席や人によっては論文執筆と発表準備に追われる場合もあります。
外科医の働き方
それでは、外科医の働き方にはどのような特徴があるのでしょうか。
高収入を期待できるがハードワークになりがち
医師は高年収で知られる職業の一つですが、とくに外科医の年収は高額になる傾向にあります。これは、多少なりともリスクのある手術を行うために基本給が高めに設定されていることに加え、時間外業務が多い点も関係しています。また、地方によっては医師不足への対策として高報酬と高待遇を用意している医療機関もあります。
オンコールや当直勤務ものしかかる
では外科医がどの程度、ハードワークなのか見てみましょう。独立行政法人 労働政策研究・研修機構『勤務医の就労実態と意識に関する調査』によると、全診療科における主たる勤務先での週当たり労働時間(休憩時間を除く)は平均46.6時間です。これに対して外科の平均時間は52.5時間となっています。さらに、週当たりの労働時間が60時間以上と回答した医師の割合は、全診療科の平均27.4%に対して外科では43.1%です。
外科の労働時間が長くなる原因はいくつか考えられます。まず、外科はオンコール対応を求められる機会がほかの診療科よりも多い傾向にあります。背景には、手術の低侵襲化が進んで手術時間が予定よりも長くなったことや、高齢化に伴う周術期リスクの上昇、患者さまの容態が急変した場合の緊急手術への対応などがあげられます。とりわけ糖尿病など併存疾患を有する患者さまは、術後合併症の確率が高く、入院期間も長期化しがちなため、そのぶんの対応が求められるでしょう。
労働時間の長さが問題視され働き方改革が進む
長時間勤務や医療事故による訴訟リスクの高さなどから、外科医を志望する人は減少傾向にあると言われています。
こうした事態を受けて、外科領域でも医師の労働時間短縮に向けた働き方改革が進んでいます。労働時間管理の適正化に向けた取り組みに加えて、36協定の自己点検、産業保健の仕組みの活用、タスク・シフトの推進、女性医師への支援などが掲げられました。
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外科医に向いている人
外科医に向いている、すなわち外科医としての素質をもっている人の特徴を3つ紹介します。
集中力がある人
手術を安全に実施するには、その終了まで集中力と緊張感を切らさないことが必要です。診療科や術式の難易度などでも手術の時間は左右されるため、長時間におよんだ場合でも高い集中力が求められます。
チームワークを重視する人
外科はチーム体制で治療にあたる診療科です。同じ職場で働く先輩や同僚とのタテヨコの連携が重要になります。近年は看護師や薬剤師などのコメディカル(医療従事者)と共同で取り組む「チーム医療」も重視されるようになりつつあるため、今後は協調性がより求められるでしょう。
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向上心がある人
ご存じの通り、医学は日々進歩しています。研修医時代に外科医としての基礎を身につけたら終わりというわけではありません。学会で発表される内容から最新動向をキャッチアップしたり、新しい術式や新薬に関する情報を積極的に集めたり、医師である限りは常に勉強する姿勢と努力が求められます。自らを磨き上げようとする向上心は、外科に限らず、全領域の医師に共通して必要と言えるでしょう。
外科医に転職する際のポイント
近年、過酷な労働環境などを理由に若手医師の外科離れが進んでおり、外科医が高齢化しています。そのため、若手医師の外科への転職は比較的しやすい状況にあるようです。
外科医が転職する際には、希望先の医療機関で求める人材像と、ご自身が希望する業務内容や年収がマッチングしているかを意識するのがポイントです。
現在、地域における医療提供体制の役割分担と連携が進んだことで、大規模な手術をあえてしない病院が出てきたり、腹腔鏡技術の進歩によって内科領域の医師も手術をできるようになってきたりと、外科の役割にも変化が生じています。そのため、内視鏡検査と治療に力を入れている病院なら内視鏡のスキルをもつ医師の採用を優先するといったように、病院が求める人物像にはそれぞれ傾向があらわれるようになりました。医療機関がどのような医師を求めているのかは、求人票などで十分に確認しましょう。
また、一般的に医師が不足している医療機関では、医師を確保するため、高年収や高待遇を用意する傾向があります。外科の求人案件を探す際には、「なぜその求人案件が高年収なのか」を確認する習慣をつけましょう。
外科医ならキャリア形成も高年収も諦めない働き方を目指せる
外科は、扱う部位や臓器ごとに診療科が細分化されており、治療方法も毎年のように進歩していることから、とても学びがいがある領域と言えるでしょう。
診療、手術をする場合には、患者さまとご家族への説明、手術前後の対応、自分を磨くための学術面での研鑽など、やることが比較的多いため、日々が目まぐるしく過ぎていくと感じる人も多いのではないでしょうか。長時間労働やオンコールの多さなど、仕事をするうえで大変な環境であるのも確かです。ただし、自分が担当した患者さまが治療によって回復されていくのを間近で見守れるのは、何ものにも代えがたい喜びでしょう。
異なる診療科から外科医への転職を検討しているなら、まずはコンサルタントに相談するのをおすすめします。他診療科への転職の動機やその後のキャリアアップなど、「何のための転職か」を一緒に考える心強いパートナーになるでしょう。
ドクタービジョン編集部
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