形成外科医の平均年収は?仕事内容や働き方についても解説

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公開日:2021.06.16

形成外科医の平均年収は?仕事内容や働き方についても解説

形成外科医の平均年収は?仕事内容や働き方についても解説

目に見える身体の表面を治療する形成外科。やけどや皮膚の腫瘍、口唇口蓋裂や小耳症など生まれつきの変形、がんやケガによる欠損部分の再建など、頭から足先まで全身を治療の対象とする診療科です。近年は、形成外科から美容の道に進む医師も増え、注目度が高まっています。この記事では、形成外科医の年収や仕事内容、働き方、転職時のチェックポイントなどについてご紹介します。

形成外科医の平均年収

形成外科医の平均年収

形成外科医の平均年収は1,645万円(※1)です。全診療科の平均年収は1,596万円(※2)であり、平均よりやや高いと言えます。

形成外科医として年収アップしたい場合は、まず専門的な知識・外科的な技術を身につけ、専門医資格の取得を目指します。そのほかに、保険診療に加えて自由診療を行なっているクリニックに転職する方法もあります。形成外科で培った技術は、美容外科や美容皮膚科でも活かせるため、将来的に活躍の場は広がるでしょう。

診療科別の平均年収比較

治療領域が近い美容外科の平均年収は2,181万円、美容皮膚科は1,952万円、皮膚科は1,608万円という結果(※3)になりました。一般内科の平均年収は1,602万円で、胸部外科・食道外科・心臓外科・大腸外科は1,619万円、整形外科は1,649万円、産婦人科は1,744万円ですが、生殖医療を扱う産婦人科では2,075万円でした(※4)。

内科系と比較すると外科系のほうが年収は高くなります。また、2,000万円以上を希望する場合は保険診療のみ扱う診療科や医療機関では難しいケースもあるようです。年収が高い場合は、交通アクセスの悪い場所への勤務だったり、労働環境が好ましくなかったりすることもあります。平均年収の高さのみで判断しないことが大切です。

※1~4:本記事の平均年収情報は2020年10月時点のドクタービジョン掲載求人をもとに平均値を出しています

形成外科医の仕事内容・働き方について

形成外科医の仕事内容・働き方について

形成外科は具体的にどのような仕事内容なのでしょうか。求められる能力や働き方について説明していきます。

形成外科医の仕事内容

形成外科では、おもに身体の表面の病気やケガ、生まれつきによる変形や欠損を治療します。頭から顔面、手先、足先まで、全身を対象に診療しています。

具体的には、やけどやケガ、ケロイド、あざ、イボ、褥瘡、良性・悪性腫瘍など皮膚の治療や、顔面骨折、眼瞼下垂、リンパ浮腫の治療、口唇口蓋裂や小耳症や漏斗胸などの生まれつきの異常に対する手術も行います。そのほかにも、乳がん治療後の乳房の再建手術も形成外科医が得意とする領域です。

医療機関によってよく診る病気は異なり、小児専門病院では生まれつきの異常、がんセンターでは乳房の再建、地方の病院では褥瘡、救急病院ではケガややけどの症例が多いでしょう。

形成外科と同じく、全身の見える部分を対象とする美容外科との違いがよくわからない方もいるかもしれません。形成外科は変形や欠損などの異常をおもに保険診療で治療します。その一方で美容外科は、医学的には正常な部分を自由診療で施術する診療科です。

また、形成外科は名前が似ていることからよく「整形外科」と間違われます。両者は大きく異なる診療科で、整形外科は骨や関節、筋肉、神経など運動器の病気の治療や機能の改善を行います。

形成外科医に求められるもの

形成外科は全身を治療対象とすることから、非常に多くの知識と経験が必要です。外科ということもあり、日々コツコツ手技を磨き続ける人が向いています。もともと手先が器用な人が目指す傾向があるものの、全員がマイクロサージェリーのような1mm以下の血管やリンパ管をつなぐ細かい手術を行っているわけではありません。小児から高齢者まで幅広い層の患者さまを診療していますが、とくに小児のうちに先天的な病気を治療することがよくあるため、子どもとのコミュニケーションが上手いと重宝されます

また、目に見える部分を治療するため患者さまのQOL(人生の質)に多大な影響を及ぼす診療科です。見た目の変化で患者さまの人生を輝かせるためには、一人ひとりの悩みに寄り添う人間性と、病状や希望に合わせてオーダーメイドに仕上げる技術も重要でしょう

形成外科医の働き方

形成外科があるのは、おもに大学病院や地域の基幹病院です。勤務医として働く形成外科医が多いですが、フリーランス医として活躍している人もいます。少数ではありますが、研究医として皮膚や髪の毛、脂肪などの再生医療や創傷治癒について基礎研究を行う医師もいます。

医療機関にはよるものの基本的に激務ではなく、緊急手術も多くはありません。プライベートとの両立がしやすく、女性の割合も高めという特徴があります

形成外科医としてクリニックを開業するケースもありますが、多くはありません。形成外科単体では患者さまの数が少なく経営が難しいため、形成外科とあわせて皮膚科や美容外科を標榜するケースが大半です。

転職時のチェックポイント

転職時のチェックポイント

ここでは、形成外科医が転職するときに知っておきたいポイントを紹介します。

極めたい病気・部位を得意としているか

形成外科は医師不足のため、求人数は豊富です。ただし、形成外科は全身を診ることもあり、対象となる病気が非常に多い特徴があります。それぞれの医療機関がとくに得意とする病気や部位は異なるため、条件に合う医療機関を見つけたら一度見学に行ってから決めることをおすすめします

専門医資格があると有利

医師として一定のスキルがあることの証明になるため、形成外科専門医の資格があると転職の幅が広がります。

形成外科から美容外科に転科する場合、形成外科専門医の資格をもっていると非常に有利で、年収の交渉もスムーズに進みやすいでしょう。また、日本美容外科学会(JSAPS)では、形成外科専門医のみ正会員になることができます。新卒で美容外科に進む医師もいますが、技術への信頼性の点からいうと、美容外科志望でもまずは形成外科でしっかりトレーニングを積むことが望ましいです

悩んだときは転職コンサルタントに相談

転職にあたって疑問点や悩みが出たときは、転職コンサルタントに相談するのもおすすめです。

おもに自由診療を扱うクリニックに転職希望の場合は、経営状況も気になるところです。転職コンサルタントは、医療機関の公式サイトには載っていない内情や非公開求人も紹介してくれます。

医局を辞めるタイミングの相談やワークライフバランスの調整、転職先との条件交渉など、キャリアに関することであれば幅広くサポートを受けられることもメリットです。とくに転職が初めての場合は、自分の客観的な立ち位置や転職市場の動向、転職の基本を知る意味でも利用する価値は大きいでしょう。

患者さまの数は少なくても需要は高い形成外科

形成外科は見た目を治すという特徴から、患者さまの病気だけではなく心まで明るくできる診療科です。形成外科医が診る領域は患者さまにとって深刻な悩みにつながりやすく、患者さまの数は少なくても需要は常にあるでしょう。近年は美容整形を受ける人が急増し、その後遺症を診るクリニックも少しずつ増えていることから、需要は高まるばかりです。

全身に対する様々な知識と経験が重要となりますが、平均年収は低くはなく、ワークワイフバランスも取りやすい形成外科。専門とする診療科や転科を検討している方は、形成外科も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

ドクタービジョン編集部

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