医師が転職前に考えるべき!40代以降のライフプランとマネープラン

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公開日:2018.02.14

医師が転職前に考えるべき!40代以降のライフプランとマネープラン

医師が転職前に考えるべき!40代以降のライフプランとマネープラン

医師の方は一般的な職業と比べて収入が多く、普段の生活において金銭面で困ることもあまりないのでは無いでしょうか。しかし40代以降になると、家族が増えたり子どもの教育等でまとまったお金が必要になってくるなど予想もしなかった問題に直面することもありますので、マネープランについてしっかりと考えておく必要があります。

特に医師の方がひっかかりやすいポイントでもあるので、40代以降の方だけでなく、30代の方や特に転職を考えている方は、将来のことを考えながら一度計算しておくことをおすすめします。

キャッシュフロー表を作ろう

マネープランを明確にするためには、キャッシュフロー表を作成することをおすすめします。

自分自身の年収や貯蓄といったリアルタイムなものは、多くの人が特に苦労することなく把握することができていると思います。しかし、将来的にどれくらいの支出が想定されるのかを認識している人は非常に少ないです。 キャッシュフロー表とは、毎年の支出や収入、そして資産の推移が記載されている予定表のことをいいます。

キャッシュフロー表を作成することで、将来必要とされる資金はいくらなのか、目標に向けて貯蓄をするためには、どれくらいの年収が必要なのかを可視化して、簡単に理解することができます。

もちろん、キャッシュフロー表を作成せずとも生活をしていくことは可能です。ただ、多くの方は、自分自身や家族が最低限お金に不自由しないように生活したいと考えていると思います。

キャッシュフロー表を作成して、お金の流れを確認してみましょう。 キャッシュフロー表は、インターネット上にエクセルを用いた無料のフォーマットがたくさん存在しています。それらを基に、自分自身で作成することも可能です。また、自分一人で作るのは心もとないという場合は、ファイナンシャルプランナーと相談をしながら作成することもできます。

キャッシュフロー表における収支というのは、人それぞれ必要な金額が違います。そのため、家族構成や家族一人ひとりにどのようなイベントがあるのかを考慮して作成することが重要です。キャッシュフロー表を作成する際には、収入などのある程度予測の立てやすいものや、毎月の支出が一定の住宅費などから作成していくと取り組みやすいでしょう。

収入では、働き手である自分自身の給料に加えて、配偶者の給料があるかどうかの検討が必要です。さらに万が一のことを考えて、自分自身が不慮の事故や病気で亡くなってしまうなどの想定もしておくとよいでしょう。

また、住宅費では毎月の家賃や住宅ローン、そして定期的に発生する更新料や固定資産税などを考慮するようにしましょう。その他の支出については、ひとまず1ヶ月の支出を算出して1年間分に換算してみるとよいでしょう。

ライフプランを組み立てよう

生きていくうえで、収入や支出が毎年同じということはあり得ません。生きていくうえで、自分や家族にはさまざまなライフイベントが発生します。ライフイベントの中には、突発的に大きな支出に迫られることも多いので注意が必要です。

たとえば、子供の出産や子供の進学・結婚、そしてマイホーム購入などがあります。これらのライフイベントは、突発的な支出だけではなく定常的な支出のアップにもつながるため、将来のライフプランを組み立ててキャッシュフロー表に反映させる必要があります。

特に医師の方ならではのライフプラン要素もあるため、あらかじめ意識しておきましょう。

子供の教育費

医師の方の中には、子供にも医師としての道を歩んでほしいと考える方が多いのではないでしょうか?また、親の仕事ぶりを見ている中で自然と子供が「医者になりたい」と思うこともあります。既に経験されているのでご存知かと思いますが、医師になるためには教育費が多くかかる傾向があります。

大学で私立を選択した場合は、膨大な学費がかかることになりますし、学費に加えて、下宿費用や予備校、塾、そして寄付金といった費用も必要になるでしょう。 もちろん、すべて公立の学校に通った上で、浪人をせずに国公立に進学すると支出が少なくなりますが、私立に通った場合のライフプランもしっかり予測しておくようにしましょう。

どうしても収入に不安がある場合は、祖父母などへ援助の相談をするなど、早めの対策が必要です。

開業する可能性があるか

医師の中には、将来的に開業することを目標としている方も多いです。もちろん、今すぐ開業を考えていないとしても、将来的に開業する可能性があるならば、開業のための資金を貯蓄しておく必要があります。

開業に必要な資金は、何の病院を開業するかによって変わります。精神科や皮膚科といった比較的機器類が必要でない科の場合、必要な機器が多いと言われる内科・整形外科・眼科の場合など、科目による違いを確認して自身が開業したい病院の平均必要資金を把握しておきましょう。

開業するためには多くの資金が必要ですが、開業することで勤務医時代に比べると高収入になる傾向があると言われています。ただし、勤務医として勤めていたときのような安定した収入が担保されているわけではありません。

老後のための貯蓄

医師、特に開業医の場合は、サラリーマンよりも長く働くことが可能です。ただし、専門によっては体力的に厳しくなってくるため、老後を考えて十分な貯蓄が必要と考えられます。

その年代になると、子供は独り立ちをして手を離れ、住宅ローンも払い終わっているという方も多いでしょう。そうなると夫婦二人だけの生活に必要なお金だけが支出となります。

また、老後の資金を考える際に、老後の生活レベルは今よりも落ち着くだろうという考えで少なめに金額を計算する方も多いようです。ところが、これまで暮らしていた生活レベルを落とすということは、実現しようとするとなかなか難しいものです。今の自分達の支出と照らしあわせながら、リタイアまでに夫婦で暮らすために必要な支出額を試算して、自分たちには最低限どれくらいの貯蓄が必要なのかを確認しておきましょう。

特に医師のライフプランで注意すべきポイント

一般的なサラリーマンに比べて、医師は独特のライフイベントがあることが多いので、ライフプランは慎重に検討する必要があります。それは、ここまで解説してきた支出だけではなく、収入においても医師特有の注意すべきポイントがあります。

年金が少なくなりがち

医師の場合、将来受け取ることができる年金が少なくなる傾向があります。

ここまで解説してきたとおり、医師というのは一般的なサラリーマンに比べると高収入になることが多いです。収入が多いと将来受け取る年金が増えるのではないかと思ってしまいがちですが、実はそうではありません。

医師の収入が高くなる要因の一つとして、アルバイト収入があります。医師のアルバイトには、外来や当直、そして企業検診などの独特のアルバイトがあります。

これらのアルバイトは、時給単価が非常に高いため、1年間に換算するとアルバイト収入だけでもかなりの金額になることが多いです。そのため、一般的なサラリーマンに比べて、高収入になりやすいです。

ただし、アルバイトで得た収入というのは、年金保険料の計算に反映されないことが少なくありません。そのため、見た目の年収が多いにもかかわらず、老後に受け取ることができる年金の額が低くなってしまう可能性があるのです。

キャッシュフロー表に、将来の年金を収入に記載する場合には、年収から見た年金額ではなく、年金定期便などに記載されている受取予定額から試算をするようにしましょう。

もし、将来的な年金額に不安がある場合は、現在持っているお金を基にして利回り運用をすることもおすすめです。現在の預金利息では、預貯金のみでお金を増やしていくことは非常に難しいです。

値動きが少なく投資時期を分散できる積立式の投資信託を活用することで、リターンは少ないながらも預貯金よりも高い利回りで運用することができるでしょう。

転職で大きく収入が変わることがある

医局で働いている勤務医の場合、配属される病院や科によって収入が大きく変動することが多いです。そのため、キャッシュフロー表を作る際には、現在得ている年収だけではなく低くなったことを想定したキャッシュフロー表も作ってみるとよいでしょう。

医局から離れて転職をすることで、収入が大きく変わることがあります。作成したライフプランからは、どれくらいの収入が必要なのかを知り、これ以上は下げられないというラインを知っておきましょう。転職を検討する際に、金銭面で明確な条件を持っていることで判断がしやすくなります。

また、開業する場合であっても、開業する科や地域的な特性によって収入が変動しやすいです。さらに、前述したように開業するための多額の資金も必要となります。必ずしも勤務医時代よりも高収入になるとは保障されていませんので注意してください。

転職をする場合はキャッシュフロー表を活用して検討を

医師の場合、一般的なサラリーマンと比べて独特のライフイベントがある可能性が多いです。ライフプランをしっかりと吟味していくと、将来的な収入や支出額を算出することができます。もちろん、ライフプランは必ずしも予定通りにいくとは限りません。転職を検討する場合には、複数のライフプランによるキャッシュフロー表を作成して、必要な収入に見合った条件の転職先を探していくようにしましょう。

ドクタービジョン編集部

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