インタビュー 公開日:2021.02.12

「職員は家族」。患者さまも職員も幸せにする在宅医療クリニック【よこはまあおとクリニック】

「職員は家族」。患者さまも職員も幸せにする在宅医療クリニック【よこはまあおとクリニック】

夫婦二人三脚で開院した神奈川県横浜市緑区の「よこはまあおとクリニック」は、患者さまにとってよりよい医療を提供するために、2016年11月に開院。患者さまを第一に考えた経営方針に習い、職員たちが日々患者さまに喜ばれる医療を提供しようと奔走しています。

今回は、そんな地域に愛されるアットホームなよこはまあおとクリニックの院長・畑中延介先生と事務長兼看護師・河崎(畑中)朋子さんにお話を伺いました。

畑中延介さんの写真

よこはまあおとクリニック
院長:畑中延介 先生

都内の大学を卒業後、15年某大学病院(基幹病院)にて呼吸器疾患を中心に内科・呼吸器内科医として従事。日々の診療のなかで通院が困難になり、以降の診療や治療が途切れてしまう口惜しい経験から在宅医療クリニックに勤務。2016年11月には「在宅支援診療所よこはまあおと在宅医療クリニック」を開設し、患者さまに寄り添った自宅療養のかたちを模索し続ける。

「治療の中断で、不安を抱える患者さまを支えたい」

訪問中心でクリニックを開院しようと思った背景には、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

畑中先生:病院に勤めていた頃、入院・外来の患者さまが様々な事情で病院に来られなくなってしまったり、治療法がなくなるとどうしても患者さまとの関係が途絶えてしまうことに違和感を感じていました。

離れていく患者さま自身も、病院から離れることに不安や寂しさを抱えていて......。それならせっかく関わった方ですから、「最後まで診てあげられるようにしたい」と思ったのが訪問診療に携わることになったきっかけです。それから勤めていた病院を辞め、川崎市内の在宅医療クリニックで5年ほど訪問診療を経験し、自身でも開院する運びとなりました。

開院にあたって、大変だったことはありましたか?

畑中先生:はじめから緑区に勤めていたわけではないので、クリニックのことを地域の方に知ってもらうための関係づくりは大変でした。患者さまとの信頼関係がないことには、まず利用してもらえません。そのために、ご高齢者の方に向けた訪問診療やワクチン接種の講演を行ったり、開業前には80件ほどケアマネージャーなどの介護事業所へご挨拶にまわったりしました。そのおかげで徐々に患者さまも増えていきました。

河崎さん:開業して最初の3年間は看板も出さず、すべて地域のケアマネージャーや訪問看護師、大学病院の地域連携室からの口コミで患者さまをご紹介いただいていました。そうしたご紹介の方一人ひとりに、院長は全力投球で診療を行った結果、現在では患者さまは300名ほどになりました。

24時間365日患者さまに対応するなかで、貴院のこだわりはどのようなところにありますか?

河崎さん:オンコール体制では、その日限りの非常勤の先生にお任せしているクリニックがよくあります。それが悪いということではないのですが、当院の考え方としては"ナシ"なんです。

院長は、自分が体を壊しても「患者さまが第一」。いつも一緒に働いている常勤の先生か、カンファレンスに参加して患者さまの状態を把握している先生でないと時間外はお任せしない信念でいます。当院では、時間外もきちんと患者さまのことを把握している常勤の先生と看護師が対応するのが趣旨一貫した主義。これがゆくゆくはトラブル回避にもなっていくと思っています。

全職員が"患者さまのために"行動する風潮

全職員が

職場の雰囲気はいかがでしょうか?

河崎さん:医師や看護師だけでなく、事務職員も含めて業務に対するモチベーションが高いです。在宅医療では日々亡くなる患者さまも多いですが、職員は院長に届く感謝の言葉を励みに仕事をしています

昨年12月には、当院の事務職員が発案者となって、「クリスマスカシミヤティッシュ」とオリジナル制作の「あおとシール」を、サンタに扮して患者さまのお宅に配ってまわったり......。直接患者さまに関わらない事務職員も、患者さまが喜ぶことを自ら考えて提案できる、そんな優秀な職員がここにはたくさんいるんです

事務職員の方々も、前線で活動する医師や看護師たちを全力でサポートしているのですね。

河崎さん:はい。基本的に訪問診療をされている方は通院が困難な方なので、外出ができず、なかなか人と会う機会がありません。ですから、2週間に1回私たちがくるのを心待ちにしていて、15分程度の診察のために綺麗にドレスアップして私たちを待っているおばあさまもいらっしゃいます。

私たちにとっては10件中の1件だけれど、患者さまにとっては月に2回だけの楽しみなんです。その方も、最初からそうだったわけではなくて、訪問診療を重ねていくたびに元気になっていき、私たちの訪問を心待ちにしてくれているんですよね。

在宅医療では「医療を提供する」「安心して自宅療養する」ことも、とても大切ですが、それ以外にも役割があります。ただ処方箋を渡して、注射して......ではなく、患者さまが喜ぶことを考えて、我々の存在をしっかりと伝えることも大切です。そうした役割を間接的に関わっている事務職員もきちんと理解しています。

心のこもったサービスを自発的に考えて、提案できる環境があるのですね。職員の方々のそうした意識はどのようにして醸成されていったのでしょうか?

河崎さん:一番は、院長の人柄ではないでしょうか。開院して2年くらいまでは、院長自ら24時間365日オンコール対応をしていました。「患者さま第一」というその気持ちに、職員も傾倒して「自分たちも頑張ろう」と良い連鎖ができているように思います。

私自身もクリニックの開業当初から、患者さまに手づくりのバースデーカードをお渡ししたり、亡くなられたときは介護の思い出を綴ったお手紙やお花をお渡ししたり......。そうしたプラスアルファの気持ちを大切に取り組んできたので、その思いを職員が受け継いでくれているのだと思っています

職員・家族、みんなが幸せになれる働き方をサポート

職員・家族、みんなが幸せになれる働き方をサポート

畑中先生は、ほかの先生や看護師、事務職員の方々とのコミュニケーションで意識している点はありますか?

畑中先生:訪問診療は、どうしてもチームでまわりますから、良くも悪くも密になります。良い面としては、お互いを高め合い、モチベーションを上げることができますが、逆の場合は愚痴っぽくなることも......。でも、気持ちよく働いてもらうために、職員にはモチベーションを上げてもらいたい。

なので、朝礼では持ち回りで3分くらい「新しく発見したこと」「家族の話」「これまで受け持った患者さまの話」など、何でも良いので発表してもらう機会をつくって、みんなでコミュニケーションを取るようにしています。

回ってくるのは月に1回程度ですが、その場を通して自分を知ってもらえたり、相手に興味を持つきっかけになるんです。ほのぼのする話や明るい話題が上がると、朝からみんなの気持ちも明るくなって、笑いもよく飛び交っています。

和気あいあいとした、アットホームな雰囲気なのですね。そういった取り組みもあって、貴院の離職率はとても低いと伺っています。

河崎さん:私も院長も、職員は我が子同然だと思っています。実際に私たちにも3人の子どもがいますが、24歳から60歳までの職員をみんな自分の子どもだと思って接しています。というのも、「お昼休憩も取れない」「残業ばかりで体を壊してしまう」......。そんな職場だったら、親として心配になりますよね。自分の子どもが就職した先のクリニックだと思うと、おのずとやるべきことが見えてきます。

畑中先生:やっぱり長く、楽しく働いてもらうためには、我慢する働き方を減らしてあげたいですよね。当然雇われる側にも権利というものがありますから。

お休みなどの労働環境はいかがでしょうか?

河崎さん:在宅を選ばれる先生のなかには、お子さんが生まれたばかりなどの理由で、ご家庭が忙しい方もいらっしゃいます。基本的に当院はオンオフのメリハリがはっきりしており、残業も少なめです。有休消化は先生も100%取っているくらいなので(笑)、安心してほしいです。

私たちも開業して1ヶ月後に3番目の子どもが生まれて、抱えながら仕事をしていたので大変さは重々承知しています。若い先生には当然ご自身のご家庭やプライベートなども尊重してもらい、当院では、ご家庭もお仕事も充実した生活を送れるような環境を整えています。

実際に勤務する先生の奥さまが出産されて大変だったときには、上のお子さんを連れて出勤してもらったこともありました。当院にベビーシッターさんを呼び、もちろん費用も当院で。職員本人はもちろんですが、そのご家族、ご家庭、プライベートなどもすべて含めてサポートしていきたいと思っています

緑区でより質の高いシームレスな医療の提供を目指す

緑区でより質の高いシームレスな医療の提供を目指す

今後のクリニックのビジョンについて、教えてください。

畑中先生:2021年4月に、当院を法人化します。それと同時に、付帯事業として訪問看護ステーションもつくる予定です。

地域の訪問看護師さんとも、普段から密な連携を取っていますが、普段離れた場所で事業をしている他職種との連携には難しさを感じています。やはり理想をいえば、同じ法人内で顔を合わせて働く方が患者さまの情報も共有しやすいですよね。

それは患者さまやご家族にとってもメリットだと思っているので、しっかりとした連携が取れる体制をつくっていきたいと考えています。患者さまへのサービスの向上、地域医療への貢献のためにもより密な医療を提供していきたいです。

河崎さん:私たちは、これまでも全力投球でこのクリニックを守ってきて、今も100%の力を注いで運営をしています。そして、私たちは今このクリニックで仲間たちと働いていて、それが最高に心地いいんです。ですから、ここからどのようにしたら私たちにとってさらに心地よくなるのかを考えたうえで、緑区エリアのなかでもっと掘り下げた事業展開をしていきたいと思っています

未経験歓迎!「この仕事に就いてよかった」と思える職場

未経験歓迎!「この仕事に就いてよかった」と思える職場

医師全体でみると、訪問診療に携わった経験のある先生は、まだ少ないと思います。そういったはじめての場合でも、応募は可能なのでしょうか?

畑中先生:問題ありません。みなさん、最初ははじめてですから。経験のある先生でも、最初は私の訪問診療に同行してもらい、やり方を伝えています。わからないことや足りない部分は看護師が同行してサポートしますから、経験が浅かったり、未経験の場合も安心してください。

河崎さん:そうですね。実際に非常勤の先生であれば、自分の担当する患者さまは20名ほど。常勤の先生であれば80〜100名ほどですが、実際には診ていない患者さまが大半です。当院の場合は、ファーストコールをまず看護師が受けて、先生に必要な指示を仰ぎます。看護師は広く患者さまを診ているので、先生が把握しきれない患者さまがいた場合も看護師の方でサポートする体制があります

訪問診療が未経験でも、訪問診療に対する思いや熱意があればチャレンジできる環境があるのですね。

河崎さん:もちろんです。朝・夕にはだいたい20〜30分かけてカンファレンスも行って情報共有しています。院長はいつも同じ場所で作業をしているので、気軽に院長に質問できる環境ができています。

入職から3〜4ヶ月を過ぎたら徐々にオンコールも取りますが、はじめは不安でしょう。でも、院長は休みでも、「不安だったらいつでも電話しておいで」「困ったことがあれば休みでも行くから」というスタンスでいてくれるので、職員も安心して仕事に打ち込めます

やはりマニュアルやガイドライン通りにはいかない医療の現場だからこそ、そういった体制があると心強いですね。お二人は、どのような先生と一緒に働きたいですか?

畑中先生:患者さまに提供する医療ですから、病院とは違って検査・手術などの手技はあまり求められません。ですので、患者さまと真摯に向き合っていただける先生と一緒に働きたいですね。

河崎さん:私はチームで仕事をして、みんなで患者さまを支えていく必要があるため、協調性のある方ですね。それからまだまだ発展途上のクリニックですから、前向きで向上心のある先生は嬉しいです。あとは挨拶がしっかりとできる方。当院では挨拶をとても大切にしています。

それでは最後に、この記事をみた医療従事者の方へメッセージをお願いします。

畑中先生:自分でいうのも何ですが、本当に職場環境は働きやすく、人間関係も良好です。業務のサポートも、ほかのクリニックには負けないくらいしっかりしているので、経験のない先生・自信のない先生も、興味があればぜひ飛び込んでほしいです。

河崎さん:先生が一生懸命取り組んでくださっても、やはり周りの職員が同じように意識高く取り組んでくれないと、どうしてもモチベーションは下がっていきます。ですが、当院は「一緒に患者さまを支えて行こう」という、モチベーションの高い職員が揃っています。

改めて医療職の尊さや原点に立ち返ることができるクリニックです。これから第三の医療としてますます注目を浴びる在宅医療で、一緒に地域医療に貢献していきましょう。当院は「この職に就いてよかった」と実感してもらえる、そんなクリニックだと思っています。

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