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医療動向 公開日:2021.07.15

臨床研究法の対象と規制のポイントについて

臨床研究法の対象と規制のポイントについて

人を対象にした医学研究である臨床研究は、病気が起こるメカニズムの解明や診断・治療・予防法の改善や有効性・安全性の確認、患者さまの生活の質の向上などを目的に行われます。この臨床研究の不正を防ぎ、信頼を確保するための法律として「臨床研究法」が定められています。

今回は、研究者であれば抑えておきたい臨床研究法について、対象となる研究範囲から規制のポイントまで詳しく解説していきます。

数々の不正を防止するために生まれた臨床研究法

数々の不正を防止するために生まれた臨床研究法

平成30年4月1日に施行された「臨床研究法」。この法律では、臨床研究を「医薬品等(医薬品、医療機器、再生医療等製品)を人に対して用いることにより、当該医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする研究」と定義づけています。

臨床研究法には臨床研究で不正が行われないように、実施計画の提出や臨床研究実施基準の遵守、資金提供の規制、臨床研究に起因する病気や障害の発生した場合の報告などが盛り込まれています。また違反した場合は罰則も設けられています。

参考資料はコチラ▼
臨床研究法の概要 厚生労働省

臨床研究法が適用される対象について

臨床研究法が適用される対象について

臨床研究法が適用される範囲について確認しましょう。臨床研究のすべてが臨床研究法の対象になるわけではありません。臨床研究法の対象となるのは、治験を除き下記のいずれかに該当する「特定臨床研究」です。

【臨床研究法が適用される範囲】

①薬機法で未承認の医薬品等*を用いて行う臨床研究

②薬機法で承認された医薬品等*を用いるが、適応外の使用法で行う臨床研究

③製薬企業や医療機器企業から資金などの提供を受けて行う、当該企業の医薬品等*を用いる臨床研究

*医薬品等:医薬品、医療機器、再生医療等製品のことを指す

しかし、これらの特定臨床研究に該当しない医薬品や医療機器などの臨床研究にも努力義務が課せられているので、注意しましょう。そのため、臨床研究に携わる方は臨床研究法の内容と規制のポイントをよく確認する必要があります。

臨床研究法による規制のポイント

臨床研究法による規制のポイント

臨床研究法は、特定臨床研究を実施する研究者や製薬企業などに、いくつか義務を課しています。抑えるべきポイントについて解説します。

実施計画の提出

研究者は、特定臨床研究を実施する前に、厚生労働大臣の認定を受けた認定臨床研究審査委員会の意見を聞き、実施計画を作成して厚生労働大臣に提出しなければなりません。

実施の際は義務付けられた措置を行う

研究者は提出した実施計画に沿って特定臨床研究を進めるとともに、下記の事項を行うことが義務付けられています。

  • モニタリング・監査
  • 利益相反の管理などの実施基準の遵守
  • インフォームド・コンセントの取得
  • 個人情報の保護
  • 記録の作成・保存 など
  • 重篤な病気が発生した場合の報告

    特定臨床研究に起因すると疑われる病気や障害、死亡、感染症などの有害事象が発生した場合は、認定臨床研究審査委員会に報告して意見を聞かなければなりません。そして、その意見を添えて厚生労働大臣に報告する義務があります。

    製薬企業などからの資金提供規制

    製薬企業や医療機器企業は、研究を行う医療機関に研究資金や寄付金、原稿執筆料などを提供する場合に契約を締結しなければなりません。また、医療機関ごとの提供資金の総額や契約件数などの情報を公開することも義務付けられています。資金提供に関する情報は、事業年度ごとにインターネットなどで公開する必要があります。

    厚生労働省からの改善・研究の停止命令が可能に

    従来の臨床研究は倫理指針に基づいて行われており、厚生労働省の行政指導には強制力がありませんでした。しかし、臨床研究法の施行で厚生労働省は法的な権限を持つことになり、改善・研究の停止命令が出せるようになりました。研究者や製薬企業だけではなく、認定臨床研究審査委員会に対しても改善命令や認定の取り消しが可能です。これにより、臨床研究の不正をしっかり防ぐ目的です。

    罰則について

    罰則について

    臨床研究法に違反した場合は、厚生労働省から改善・研究の停止命令が下されます。命令に従わない場合は罰則が定められており、50万円以下の罰金が科されます。緊急命令違反では、刑事罰として3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金も科されるため注意が必要です。

    【詳しい罰則内容】

    違反内容 罰則の対象 罰則
    厚生労働大臣の緊急命令に違反した 違反者 3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金
    秘密保持義務に違反し秘密をもらした 違反者 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
    【実施計画について】
    • 正当な理由なく提出しなかった
    • 記載すべき事項を記載しなかった
    • 虚偽の記載をした
    研究者 50万円以下の罰金
    【記録の作成と保存について】
    • 正当な理由なく記録の作成または保存をしなかった
    • 虚偽の記載をした
    研究者 50万円以下の罰金
    厚生労働大臣からの改善命令に違反 研究者 50万円以下の罰金
    【厚生労働大臣による報告徴収及び立入検査について】
    • 正当な理由なく報告または物件の提出をしなかった
    • 虚偽の報告または虚偽の物件の提出をした
    • 立入検査を拒み、妨げた
    • 立入検査を忌避した
    • 質問に対し答弁をしなかった
    • 質問に対し虚偽の答弁をした
    医薬品等製造販売業者またはその特殊関係者 30万円以下の罰金

    より信頼できる臨床研究へ

    臨床研究法ができたことで研究者に書類作成や手続きの負担が増えたため、やりづらさを感じる方も多いでしょう。手続きに時間が取られてしまい臨床業務に支障が出るなどの問題を感じている方もいるかもしれません。しかし、臨床研究法は、臨床研究の信頼性や透明性を保ち、データの改ざんや捏造を防ぐためには必要な法律です。臨床研究で得られたデータは、病気の原因究明や患者さんの治療などに活用される重要なもの。臨床研究を行う場合は高い倫理観を持ち、法律の内容をよく理解しておくことが大切でしょう。

    特定臨床研究を行うにあたって不安がある場合は、研究支援センターや研究支援組織などを利用し、サポートを受けることもおすすめです。

    今の働き方に不安や迷いがあるなら医師キャリアサポートのドクタービジョンまで。無料でご相談いただけます