病院の院長の年収は?医療機関の種類や規模別の金額を比較

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公開日:2022.02.28

病院の院長の年収は?医療機関の種類や規模別の金額を比較

病院の院長の年収は?医療機関の種類や規模別の金額を比較

医師のなかでも高収入の役職とされる病院の院長。高収入を目指す医師にとっては魅力的なキャリアの一つです。しかし、院長の年収はいわゆる「雇われ院長」か「開業医」かによっても大きく異なります。また、両者は年収だけでなく業務内容にも違いがあります。

この記事では、院長の年収について医療機関の種類や規模別の金額などを解説します。

院長の年収

院長の年収

院長の年収といっても、開設者や病床数(病院か診療所か)などによって変わります。厚生労働省が2019年に実施した「第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」をもとに、開設者別、病床数別(病院/診療所)の院長の年収を確認してみましょう。

一般病院の院長の年収

病院は20床以上の病床が設置されている医療機関を指します。2018年の一般病院全体における院長の平均年収は2,675万円ですが、病院の開設者別に見ると大きな差があることがわかります。

とくに国立病院と医療法人(私立病院)との差は大きく、1,000万円以上です。単に高収入を目指すのであれば、私立病院の院長のほうがより高い収入を得られると言えます。

  • 国立病院: 1,918万円
  • 公立病院: 2,131万円
  • 公的病院:2,241万円
  • 社会保険関係法人:2,153万円
  • 医療法人:3,042万円
  • その他:2,490万円
  • 法人その他全体:2,673万円

※千円以下を四捨五入
※年額給料+賞与

診療所(クリニック)の院長の年収

診療所の場合は、入院病床を設置していると入院診療による収益が得られるため、年収が高くなる傾向にあります。その額は、一般病院の院長を含めても最も高い3,466万円です。

  • 入院病床のある医療法人:3,466万円
  • 入院病床のない医療法人:2,745万円
  • 入院病床のないその他:1,669万円

※千円以下を四捨五入
※年額給料+賞与

院長、副院長の仕事内容とは

院長、副院長の仕事内容とは

それでは院長、副院長はどのような仕事があるのでしょうか。

院長の仕事内容

院長の役割は、一般企業の社長のようなものです。医師として通常の診療に携わるだけでなく、医療機関としての診療方針や経営、周辺の病院やクリニック、関連施設などとの連携に対する決定権をもっています。また、医療過誤などがあった場合には責任者としての対応も求められるでしょう。

開業医の場合は資金繰り、給与計算なども重要な業務です。ほかにもスタッフの採用や勤怠管理、医師会との連携、集患方法の検討・実施など、仕事は多岐にわたります。事務長などの専門のスタッフを雇用するまでは、こうした業務を一人で行う必要があるため、診療所の院長は多忙と言えるでしょう。

副院長の仕事内容

副院長は、一言で言えば「院長のサポート役」です。院長不在時には代理として、院長の仕事を担ったり、院長とともに医療機関の経営に携わったりすることもあります。また、若手医師の指導・育成も副院長の仕事の一つです。

これらの業務は院長と同様、医師として診療に携わりながら行います。仕事が多岐にわたるため、副院長を複数人置いている医療機関もあります。

開業医と雇われ院長、どちらを選ぶべき?

開業医と雇われ院長、どちらを選ぶべき?

結局のところ、開業医と雇われ院長(勤務医としての院長)のどちらを選んだほうが良いのでしょうか。両者にはそれぞれメリット・デメリットがあります。今後どのようなキャリアを積みたいか、プライベートを含めてどのような生活を送りたいかなどによって、どちらがよりよい選択になるか変わってくるでしょう。

開業医のメリット・デメリット

開業医の場合、休診日や診療時間などのスケジュールを自由に決められます。そのため、雇われ院長よりもワークライフバランスが取りやすいと言えるでしょう。スケジュール以外にも経営面や人事面、診療方針など、すべてにおいて自身の裁量で仕事ができる点もメリットです。経営がうまくいけば雇われ院長よりも高い年収が期待できます。

一方、開業資金の調達や日々の資金繰り、集患対策など、雇われ院長と比べても高い経営手腕が問われます。診療以外の業務も多いため、純粋に目の前の患者さまに向き合いたい場合には理想と現実のギャップを感じることもあるでしょう。また、一人で診療を担い、ほかに常勤医師を雇用していない場合には、代診を頼みづらいデメリットもあります。

雇われ院長のメリット・デメリット

雇われ院長のメリットは、開業資金などの初期投資が不要で院長業務を経験できることです。また、来院患者数が病院経営に直結する度合いが開業医と比較すると低いため、開業医ほど集患にシビアになる必要はないと言えるでしょう。経営に関する決定権はもちつつも、開業医より低リスクで院長業務に携わりたい方にとっては選択肢となります。

しかし、医療法人など病院本体の経営者が別であるため、経営者と方針が合わなければ業務のやりづらさを感じることがあるかもしれません。場合によっては経営者から解雇されるリスクもあります。開業医より裁量がないにもかかわらず、行政上の管理責任や万が一病院が経営破綻した際の責任を問われる可能性も高いでしょう。ほかにも、契約が「雇用契約」ではなく「委任契約」の場合、福利厚生面などで不利益を被るケースがあり、注意が必要です。

両者のメリット・デメリットを踏まえたうえで、どちらがより自身の希望するキャリアやライフスタイルに合うか考えて選択することをおすすめします。

院長を目指すなら年収以外の部分も要チェック

院長は、勤務医と比べて年収アップが見込めます。また、雇われ院長であっても当直が免除されるなど、勤務医時代よりも比較的プライベートの時間を確保しやすいでしょう。

しかし、院長は年収が高いぶん、責任も大きい立場です。病院のトップとして、患者さまだけでなく、ほかの医師や看護師、スタッフのキャリアや生活についても気を配る必要があります。また「病院の顔」として相応の振る舞いが求められるため、地域や周辺の病院・クリニック、関係機関との連携も重要です。

院長を目指す場合には年収だけでなく、院長の役割や責任まできちんと理解しておくことをおすすめします。

ドクタービジョン編集部

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