医師3年目(後期研修医1年目)の年収は?

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公開日:2021.07.21

医師3年目(後期研修医1年目)の年収は?

医師3年目(後期研修医1年目)の年収は?

医師3年目になると後期研修期間に入るため、少し前からご自身のこれからのキャリア形成について再び考える方も多いのではないでしょうか。その際、気になるのが年収事情だと思います。しかし、医師のリアルな年収を把握するのは難しいもの。そこで今回は、医師3年目(後期研修1年目)をはじめ、後期研修医の年収構成要素、年収アップを見込めるサイドビジネスの探し方と注意点についてご紹介します。

医師3年目(後期研修医1年目)の年収事情

医師3年目(後期研修医1年目)の年収事情

厚生労働省が発表した「令和2年賃金構造基本統計調査」における「職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」によると、医師1〜3年目の所定内給与額の平均は6,479,000円年間賞与その他特別給与額は5,567,000円です。これは下の年次を交えた平均額のため、実際には少し増減がありそうです。

なお、所定内給与額は、労働契約で予め定められている支給条件と算定方法に基づいて支給される現金給与額のうち超過労働給与額を差し引いた金額で、所得税等の控除前の額になります。また、年間賞与その他特別給与額は、期末手当等特別給与額で、つまりボーナスのことを指します。

また、国立病院、公立病院、市立病院、診療所など、勤務先の形態と所属する診療科によって給与額のベースが変動します。一般的に、国立病院、公立病院、大学病院の平均給与額は低め、民間病院や自由診療に強いクリニックなどは高い傾向にあると言われています。そのため、例えば基礎研究などをもっと極めたくて国立大学病院を選択した場合は拘束時間、経験を積みたくて市中病院を選択した場合は業務量と給与額が釣り合わないと感じる先輩医師も多くいるようです。

本記事を読む皆さんがこれから後期臨床研修を受ける医療機関を探している最中なら、皆さんの「やりたいこと」と現場が抱える「実情」についても、予め把握しておいたほうが良いでしょう。

研修医の年収を構成する要素

研修医の年収を構成する要素

医師の年収はおもに、基本給、当直手当、賞与で構成されています。ここでは、それぞれについて説明します。

基本給

基本給とは、職務や役職など特定の項目に対する手当を一切含んでいない、ベースの賃金です。

基本給はよく給与と間違えられるのですが、給与は基本給に諸手当(固定手当と変動手当)を加えた金額になります。固定手当とは、役職・職能・勤続年数などのアドバンテージに対して付与される手当で、基本的に毎月一定の金額が支給されます。対して変動手当は、日祝日など時間外労働、通勤などに対して支給されるもので、毎月の労働状態によって変動するのが特徴です。

なお、手取りとは厚生年金、各種健康保険、所得税などを差し引いた後に支給される金額です。団体保険、持株会、財形貯蓄などに加盟している場合は、これらの金額を差し引いた金額を指します。

当直手当

超過労働給与額に該当します。医療機関に泊まり込んで、救急搬送や入院患者の容態急変といった有事に対応した場合に支給されます。当直による拘束時間と金額は、医療機関によって異なるのが一般的です。

医療は24時間体制で実施されるものです。医療法16条では、「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を当直させなければならない」と定められています。そのため、病院には医師が常に控えているのです。医師が当直する場合、夜間時間帯に対応する医師のことを宿直医師、土日や祝日など診療時間外の日中に対応する医師のことを日直医師と呼んで区別します。

賞与

ボーナスのことです。期末手当等特別給与額と記載されている場合もあります。賞与の額は、給与の記載方法によって異なるため注意が必要です。例えば、「賞与3ヶ月分」と求人票に記載されていても、給与25万円の方の賞与は75万円、基本給20万円の方の賞与は60万円で、実際の支給額に差があります。

賞与の金額算出方法は、労働契約や就業規則等によらず支払われた給与や労働協定あるいは就業規則等によって、支払い条件や算定方法があらかじめ定められていた場合でも、算定期間が3ヶ月越にわたって支払われる給与の額ならびに支給事由の発生が不確定なものと、新規協約によって過去に遡って算出された給与の追求額も含まれるものと定められています。

後期研修医はサイドビジネスが可能な場合も

後期研修医はサイドビジネスが可能な場合も

キャリア形成の最中にある後期研修医が年収アップを狙う方法に、副業(アルバイト)があります。

医師の副業を禁止する法律はありません。副業が認められている医療機関なら、副業申請を事前に提出していれば、本来の職場で遂行すべき業務がおろそかになるようなことがないかぎり、認められることが多いでしょう。

医学部生時代の奨学金を返済する目的で、定期的にアルバイトをする医師もいます。現に週に1〜2回程度、他の医療機関でアルバイトに勤しんでいる先輩医師の話を、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。メインで勤務する医療機関以外の現場で働くことは、診療経験の蓄積にも繋がります。このように、金銭面や経験値などさまざまな理由で、後期研修医になったのをきっかけにアルバイトを始める医師は多いです。

アルバイトをする際の注意点ですが、副業を認めているか確認すること、事前に副業申請をすること、本業に支障をきたさない程度にとどめることなどがあります。とくに効率よくアルバイトをしたくて当直バイトをたくさん入れた結果、睡眠不足で本業に支障をきたすことの無いよう注意しましょう。

金銭的でも注意点があります。実は、副業での収入が年間20万円を超えると確定申告の対象となり、ご自身で確定申告をする必要があります。所定の期日までに税務署に申請しないと、延滞税や加算税の対象となるケースもありますので気をつけましょう。

年収アップの方法として「スポット勤務」もおすすめ!

ただでさえ通常の診療業務が忙しい環境下でアルバイトをするため、オンとオフのスケジュールに合わせて効率よく働けるアルバイト先をお探しの方も多いのではないでしょうか。

働き方の一つに、定期非常勤勤務以外にも、決まった曜日や時間に勤務する形式ではなく、限られた期間(半日~数日)のみ勤務をする「スポット勤務」もおすすめです。

年収アップだけでなく、更なる診療経験などスキルアップにもつながるので、業務量を調節しながら空いている時間を有効活用してみてはいかがでしょうか。

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ドクタービジョン編集部

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