自由な働き方を体現する「フリーランス医師」とは?メリット・デメリットも解説!

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公開日:2020.09.30

自由な働き方を体現する「フリーランス医師」とは?メリット・デメリットも解説!

自由な働き方を体現する「フリーランス医師」とは?メリット・デメリットも解説!

近年、特定の医局や医療機関に所属せずに活躍する「フリーランス医師」が増えています。大人気テレビドラマシリーズでもフリーランスで活躍する女性医師が題材になるなど、何のしがらみにも囚われない自由な勤務体系であることから、メリットが多い働き方であるとイメージする方も多いでしょう。

しかし、実際に自分自身のスキルと責任のみで勤務を続けていかなければならないフリーランス医師の働き方はメリットばかりなのでしょうか?今回は、デメリットも含めたフリーランス医師の働き方について詳しく解説します。

フリーランス医師とは?

2019年から政府が推し進めている「働き方改革」により、自由な働き方を求めて企業に所属せずに働く方や、企業に所属しながらも自由な形態で副業に取り組む方が増えています。医師も例外ではなく、特定の医療機関や大学医局などに所属せずに定期的な非常勤勤務やいわゆる「スポットバイト」をこなしながら生計を立てる方も多くなっているのが現状です。

また、臨床の場だけでなく、製薬企業での新薬開発、公共機関での公衆衛生、文筆業なども医師の力が必要とされる場。医師免許を活かしながらこれらの場でアルバイトをしている医師も少なくありません。

医師と言えば、「開業医か勤務医」という時代はもはや過去のもの...。医師にも様々な働き方があり、プライベートに合わせた自由な働き方をする「フリーランス」も医師の新たな働き方のひとつなのです。

フリーランス医師の働き方

フリーランス医のイメージ

では、フリーランス医師は、実際にどのような働き方をしているのでしょうか。詳しく見てみましょう。

定期非常勤

定期非常勤とは、医療機関で「週〇日□時間外来業務」、「週〇日当直業務」など決まった曜日や時間帯に勤務することを指します。フリーランス医師が安定的な収入を得るには、どれだけ条件の良い定期非常勤に就けるか否かにかかっているといっても過言ではありません。多くは数か月以上の契約となるため、常勤勤務には及ばないまでも安定した収入を確保できます。また、定期非常勤は原則的に時間外勤務やオンコール業務などを課されることがないため、育児や介護など家庭の事情で常勤勤務が難しい医師も活躍しやすい働き方です。

スポットバイト

医師のスポットバイトは、非定期の健診業務や学会・病気などで常勤医師が不在の一定期間に外来や当直業務などを行うアルバイトのことです。一般社会では「日雇い」とも言われる働き方で、多くは医師専用の転職コンサルタントなどが条件の合う登録医師を選んで派遣する形となります。このようなスポットバイトの勤務は不定期であるため、安定した収入を得るにはやや不適切ですが、健康診断や学会、夏休みや年末年始などは需要が高くなるため、その時期を狙って数多くのスポットバイトをこなす医師も少なくありません。

臨床以外のアルバイト・パート

厚生労働省による「医師・歯科医師・薬剤師統計(平成30年度)」によれば、医療施設に勤務する医師は95.3%と大半を占めるものの、臨床以外の場で活躍する医師も2.9%を占めます。一般企業や行政機関などでは思いのほか医師の力を必要としている場も多く、製薬企業や保健所などの行政機関での勤務、産業医、文筆家、医療系ベンチャー起業家などとして活躍する医師も一定数いることが分かります。このような医師は特定の組織に所属して働くケースもありますが、アルバイトやパートなどの自由な勤務体系も多く、医師免許と独自のスキルを活かしながらフリーランス生活を送る医師もいます。

色々な業務を取り入れて働く医師も多い!

このように、医師は医療機関や大学医局などに所属せずに自由な体系で働くことができる「フリー度」が高い職種のひとつと言えます。また、多くのフリーランス医師は、定期非常勤やスポットバイトなどを組みわせて勤務することが多く、週に3日定期非常勤で午前中の外来業務を行う傍ら、勤務が課されていない日にスポットバイトを取り入れる...という働き方も可能です。

実は稼げる?フリーランス医師の給与事情

勤務条件として、一定上の給与を求める医師は少なくありません。フリーランス医師はプライベートでの都合や自分自身の希望を叶える勤務が可能であるため、QOLの観点では非常に魅力的な働き方です。では、給与事情はどうなのでしょうか?

医療機関など所属する組織によっても異なりますが、定期非常勤やスポットバイトの時給は一般的な常勤医師よりも高い傾向にあります。多くの定期非常勤やスポットアルバイトは半日で5~8万円ほど。月収に換算すると常勤医師よりも給与自体は高くなります。また、麻酔科医など需要が高い特殊なスキルを持つ医師に対しては、より好待遇の定期非常勤やスポットバイト案件も多く、すべての診療科医師の基本給がほぼ同じである常勤医師よりもはるかに高い報酬を得ることができるケースもあるでしょう。

ただし、そこには落とし穴も...

時給換算で言えば、常勤医師よりもフリーランス医師は高い報酬を得ることが可能です。しかし、フリーランス医師は自分自身で仕事量を管理・調節しなければならず、自分自身の「マネジメント力」も必要となります。また、医師としてのスキルや経験数、資格などが十分にない医師は条件のよい定期非常勤やスポットバイトに就けないことも...。必ずしもフリーランス医師として独立したからと言って高収入が得られるわけではないので注意が必要です。

フリーランス医師として働くメリット・デメリット

フリーランス医のイメージ

フリーランス医師は給与面でメリットになりやすい一方、状況によっては逆にデメリットになることも。他にフリーランス医師として働くにはどのようなメリット・デメリットがあるのか詳しく見てみましょう。

メリット

フリーランス医師の最大のメリットは、休日や働く時間を自由に調節できるためQOLが維持しやすいとうことでしょう。とくに育児中の医師、病気で長時間勤務が困難な医師の多くは、このような理由でフリーランスとして働く方も多いのが現状です。また、上でも述べた通り、フリーランスは自身の医師としてのスキルや経験を活かして高収入を得ることができるのも大きな魅力のひとつ。特定の組織に限らず様々な職場や症例を経験できるため、自身のスキルアップにつながるのもうれしいポイントです。

デメリット

フリーランス医師のデメリットと言えば、やはり「安定性」がないことが挙げられます。定期非常勤医として勤務している場合であっても、その医療機関に新たな常勤医師が就職すれば雇止めとなることも...。スポットバイトも非定期な案件であるため、必ずしも常勤医師のように収入が保障されることはありません。そのため、月によって収入の波があり、住宅の購入などの人生設計が立てにくい問題もあります。

また、福利厚生がないため、病気で働けなくなった場合は社会保険料も自己加入になり負担は大きくなります。さらに、確定申告やそれにともなう事務作業なども自分自身で行う必要があるため、医師としての業務以外にもこなさなければならないことが多いのもデメリットのひとつと言えます。

フリーランス医師として独立する前に確認すべきこと

最後に、フリーランス医師として独立する前にはどのようなことに注意すればよいのか見てみましょう。フリーランス医師として活躍し、一定の収入を得るにはある程度の経験数や専門医資格など医師としての「スキル」を保障するような条件が必要となります。

定期非常勤やスポットバイトを採用する側の医療機関も、「高い報酬を払うなら、スキルの高い医師を...」と考えるのは当然のこと。フリーランスとして独立するには、自身が医療機関側に受け入れてもらえるようなスキルが備わっているかを省みることが大切です。

また、診療科によって求人の件数や条件も変わるため、自身の診療科の全体的な条件を確認しておくことも重要です。さらに、同僚のつてや転職コンサルタントから定期非常勤などの比較的安定した条件の仕事を紹介してもらえる場合は、独立する前に準備をはじめておくとよいでしょう。

自分の希望に合わせた賢い選択を

フリーランス医師と言われたら、「自由な勤務で報酬も高い!」とイメージする方も少なくないでしょう。確かにフリーランス医師は、一般的な常勤医師よりも時給は高く、なおかつライフスタイルに合わせて勤務日や勤務時間を決めることができます。

しかし、フリーランス医師が高い報酬を得るには、一定以上のスキルを求められるのも事実。また、採用も不定期であるケースが多く、経済的に安定しないことも認識しておく必要があります。フリーランス医師と常勤医師はそれぞれメリット・デメリットがあります。自身のライフスタイルや希望に合わせて後悔のない働き方を選択するようにしましょう。

ドクタービジョン編集部

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