在宅医療を知り、「実態が見えない」を解消へ
今後の働き方を模索する中で、キャリアの選択肢として注目される「在宅医療」。一方で、実態が見えにくいことから「よくわからない」「なんとなく避けたい」という声も少なくありません。
今回、当社を利用する先生方からよく聞かれる疑問や、先生方が抱えがちな「在宅医療の『疑問とモヤモヤ』」について、現場を知る当社コンサルタントが直接回答いたしました。先生のキャリアの可能性を広げるヒントをお届けいたします。
※回答内容は公開時点（2025年12月）の市場動向や一般的な事例に基づくものです。実際の勤務条件や採用基準は医療機関により異なりますので、詳細は個別の求人情報や担当コンサルタントへご確認ください。
（ドクタービジョン編集部）
24時間365日休めないのではないかと不安です。オンコールの実態なども教えてほしいです。
1日の訪問件数や、作業や対応（滞在時間の目安）を教えてください。
コンサルタントコメント
「訪問診療の1日のスケジュール例」をご紹介いたします。法人によっても異なりますが、ドクタービジョンでは細かく記載をしている求人も多くございますので、是非ご覧ください。
移動中の運転は医師が行うのでしょうか？また、移動時間は休憩できますか？
コンサルタントコメント
医師が運転を行うケースは少なく、多くの場合は同行する看護師や専任のドライバー、診療アシスタントが運転を担当します。 移動時間は、クラウド型カルテの入力など事務作業の時間に充てる先生が多いですが、一息つく休憩のタイミングとしても活用されています。 移動とは別に60分程度の休憩時間を確保している法人がほとんどですので、オンオフのメリハリある働き方が実現しやすい環境です。
CTやMRIがない環境は不安です。その辺りはどうされているのでしょうか？
コンサルタントコメント
そもそも訪問診療は、高度医療機器を用いた急性期の確定診断よりも、自宅や施設での患者さまの療養支援や見守りの側面が強い医療です。そのため、現場では高度検査機器を使用しない判断をすることが一般的です。
多くの訪問診療クリニックでは病診連携を取っており、検査や専門治療が必要な場合は、連携先の病院等へ紹介をする体制を整えています（自院にCTなど病院並みの検査機器を導入されている法人も一部ございます）。一方で、近年では在宅医療用の持ち運びのできるレントゲンや心エコー、心電図などを装備されている法人も増加傾向にあります。
『専門科の治療経験』と『幅広いプライマリ・ケア経験』、採用ではどちらが評価されますか？
コンサルタントコメント
どちらも高く評価されますが、どちらかというと「幅広いプライマリ・ケア経験」が評価されると思います。在宅で療養される患者さまは、様々な疾患を抱えているため、特定の臓器に限らず全身を包括的に診る能力が求められると思います（前述したように専門的な治療を必要とする場合は、提携先の病院等に紹介をします）。
一方で、プライマリ・ケアの部分は入職後の経験で十分に習得いただけるため、その他に専門性をお持ちの先生も同等に評価を得られることが訪問診療の懐の広さだと思います。むしろ、いままで身に着けた知見が日々の診療で活きる場面も多く、複数の医師が在籍するクリニックでは、お互いの専門性を活かしてコンサルテーションし合うケースもよく見られます。
そういったことから、専門性を貫いてきた先生も、幅広い診療を診てこられた先生もどちらも高く評価されます。
患者さんやご家族との調整業務は、医師がすべて一人で行うのでしょうか？
コンサルタントコメント
訪問スケジュールの作成や書類業務は診療アシスタントが、ご家族との細かな調整やケアの相談は看護師や事務員が対応するケースが大半です。もちろん、病状説明など医学的な判断が必要な場面では医師が対応しますが、在宅医療は「チーム医療」の色が濃いため、多職種で業務を分担し、患者さまやご家族の対応を行います。
訪問診療が未経験の場合、慣れるまでは『同行診療・サポート』などの教育期間はありますか？
コンサルタントコメント
実際に訪問診療へ転職される先生の多くは未経験からのスタートですので、ご安心ください。多くの法人で同行診療・サポートなどのOJT体制が整備されています。
教育体制が手厚い法人では、入職直後すぐに担当患者を持たずにしっかりと学ぶ期間を設けたり、座学研修を実施したりすることもあります。未経験で入職され、1～2年で訪問診療医として第一線で活躍されている先生は数多くいらっしゃいます。
内科以外の出身（外科・整形外科・精神科など）でも、採用のニーズはありますか？
コンサルタントコメント
必ずしも内科認定医などの資格や知見を必須条件とする求人は多くなく、科目不問で募集している法人が多い状況です。
内科的な知見があるに越したことはありませんが、内科的な対応に不安のある先生でも、入職後のOJTを通じて訪問診療に必要な知識・経験を得ることが可能であるため、選考時にはスキル以上に「在宅医療への意欲・関心」や「コミュニケーション能力」を求められる傾向にあります。
実際に当社でも、外科系出身の先生をはじめ、様々な科目の先生を訪問診療クリニックにご紹介した実績がございます。
まとめ
実態を知ることで、在宅医療に対する不安や疑問が少しでも解消されれば幸いです。先生のライフステージに合った働き方やキャリアを検討の際、選択の一つとして在宅医療をぜひご検討ください。
医師転職支援サービス「ドクタービジョン」は、日本調剤株式会社を母体とする医療総合人材サービス会社・株式会社メディカルリソースが運営しています。医師だけでなく、薬剤師や看護師など医療従事者の転職を支援する、『地域を支える医療系総合コンサルタント』として皆さまをご支援しています。
これからの働き方を考えると、「転職」という選択肢が出てくることも少なくないと思います。そうしたときこそ、求職者の皆さま一人ひとりとしっかり向き合うことを大切にするドクタービジョンにご相談ください。お電話や対面での面談の場合は、お話を通してご経験やご意向を把握した上で、一緒にキャリアプランを考えていきたいと考えています。
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コンサルタントコメント
常勤医師にオンコールを課さない（免除する）法人（クリニック）も増えており、その場合は外部のオンコール代行サービスを活用しています。 また、オンコールの対応をする場合でも、「平日当番は週1回及び、土日当番は月1回」といったように、医師一人ひとりの負担が過重にならないよう、無理のないシフト制・当番制を敷いている法人が多い印象です。