当直や長時間労働、オンコールの対応に追われ自分自身のプライベートな時間もままならず、「このままでいいのか」と感じている先生も多いのではないでしょうか。
医師という責任ある職業柄、私生活を犠牲にして働くのが当たり前という風潮が根強く残っているところもあります。一方で、体力的にも精神的にも限界を感じながら働き続けることに、不安を感じている先生も少なくないはずです。
医師が心身の健康を保ちながら働き続けるためには、働き方の見直しが欠かせません。この記事では、「医師がワーク・ライフ・バランスを改善できた事例」を紹介します。各事例でどのような働き方を選び、どのような工夫をしたのか、加えて転職で成功するためのポイントも解説しています。ぜひ参考にしてください。
医師がワーク・ライフ・バランスを整えるために必要な方法
ワーク・ライフ・バランスを整えるには、勤務環境が大きく影響します。特に、大学病院や国公立病院などは、地域の医療インフラを支える中核としての役割を担っており、救急対応やオンコールなどに追われる機会も多く、医師にとっては非常に忙しい勤務先となる傾向があります。
これに対し、一般の医療機関では経営上の観点から採算性を重視せざるを得ないことが多く、限られた人員で業務を回す必要があるため、結果的に一人ひとりの業務負担が大きくなり、労働時間が長くなりがちです。 さらに、経営陣が古い体質の場合、医師のワーク・ライフ・バランスよりも「休まず働くこと」が評価されやすい環境となっていることもあります。こうした職場では、労基など外部からの圧力がなければ改善が進みにくいのが実情です。
こうした背景の中で、2024年4月1日に施行された医師の働き方改革は、労働時間の上限規制や宿日直の見直しなど制度面での変化をもたらしましたが、まだその影響は少なく、「制度はあっても実感がない」と感じる医師も少なくありません。そのため、制度だけに頼らず、自らの働き方を見直す動きも広がりつつあります。
そこで、多くの場合で取られやすいのが、以下の方法です。
- 他の医療機関へ転職をする
- 非常勤医師として働く
- 転科をする
- 条件交渉をする
抜本的な改善が難しい場合は、転職も含めて総合的に判断しましょう。たとえば非常勤なら契約上で拘束時間が決まっているため、残業が生じにくい特徴があります。所属している科に原因があるのなら、転科するのも1つの方法でしょう。ただし、職場を変える転職と比較すると変化の大きさが小さい点には留意しておく必要があります。
このように、ワーク・ライフ・バランスを整える方法は、様々なものがあります。現職での業務調整やタスク・シフト、時短勤務の交渉などもありますが、医療機関の体制や組織文化によっては、こうした柔軟な働き方を実現するのが難しい場合もあります。
人的リソースが限られていたり、収益を優先せざるを得なかったりする医療現場では、当直免除や勤務日数の調整といった柔軟な制度が整っていないケースも多く見られます。そのため、環境そのものを変える転職が、現実的かつ具体的な改善手段として選ばれる傾向があります。
次の章では、実際に転職を通じて働き方を見直した事例をご紹介します。
【必見】実際に転職でワーク・ライフ・バランスを改善できた医師の事例
ここからは、実際にドクタービジョンのコンサルタントに依頼したことで、「転職によってワーク・ライフ・バランスを改善した事例」を、その過程で得られた気づきと共にご紹介します。現在の状況と照らし合わせながら、自身の働き方を見直すヒントとしてご覧ください。
事例1.内分泌内科/30代前半/女性 | 医局からの転職
給与面と子育ての両立を目指して転職を決断した事例です。
抱えていた課題
この先生が抱えていた課題は、給与面でした。医局は人手が多いため休みが取りやすく、産休育休は取得できたものの、給与面の改善を求めクリニックへ行きたい希望を抱いていました。一方で子どもも幼稚園に通い始めていたため、給与と子育ての両立ができ、休みが取れるのであれば一般病院でも良いかなと考えてもいました。
選択した働き方
結果としてこの先生は、給与面と子育ての両立が可能な一般病院に出会えたことで、転職を決意されました。
実際に勤務を始めてみると、一般病院では医師の数が限られている分、自分が担当する業務の幅が広がり、これまで経験する機会の少なかった症例を診るような場面も増えたといいます。専門外来も継続して担当できており、キャリア面でも納得感のある働き方ができているとのことでした。仕事と生活の両立が可能だと実感できたことで、安心して働けているようです。
ワーク・ライフ・バランスの変化
この事例では、医局から一般病院への勤務へ変わったことで、収入と家庭のどちらも安定させることに成功しています。幼稚園の送り迎えや家族行事にも関われる時間が増え、子育てとのバランスが取りやすくなったとのことでした。
転職を決断した決め手
今のままでは仕事も子育ても、どちらも中途半端になるのではないかという不安が、転職を真剣に考えるきっかけになったそうです。
専門医としての道を諦めず、家族との時間も大切にしたいという思いが強まり、条件を整理して職場を探すことに決めたとのことでした。退職交渉には時間を要したものの、将来の働き方を見直す良い機会と捉え、前向きに動けたことが転機になったようです。
仕事と家庭を両立するからこそ、ライフステージにあわせた選択肢が理想のキャリアにつながる。
子育て・家庭・仕事...女性医師の「自分らしい働き方」の選び方とは?<麻酔科医・森田麻里子先生>前編
事例2.呼吸器内科/50代/男性 | 医局からの転職
医局から一歩踏み出し、将来の開業を見据えて働き方を大きく見直した事例です。
抱えていた課題
この先生は将来的な開業を見据えていたものの、現職では夜間対応や突発的な業務が多く、開業準備に必要な時間が確保できない状況が続いていました。気持ちだけが先行する一方で、準備が思うように進まず焦りを感じていました。
さらに、高校生・大学生の子どもを抱える家庭として、今後の教育費や生活設計も見据えながら、安定した収入を維持しつつ開業を目指せる働き方を模索していました。将来的な開業に向けた準備を着実に進めるためにも、現職の多忙な勤務体制を見直す必要性を感じていたようです。
選択した働き方
結果として、この先生は土日休みが確定しているクリニックへの転職を選ばれました。療のある平日は勤務に集中し、週末は開業準備に充てるというスタイルに切り替えたことで、生活と仕事のリズムが整い、精神的にもゆとりが生まれたといいます。
さらに、クリニックの運営に近い立場で実務に関わる機会にも恵まれ、診療だけでは得られない経営の視点を持てるようになったことは、当初想定していた以上の収穫だったそうです。時間的な余裕だけでなく、開業に向けた実践的な経験を積めたことが大きな成果だったと振り返られています。
ワーク・ライフ・バランスの変化
クリニックへと転職した結果、勤務日とプライベートの線引きがしやすくなり、時間の使い方にゆとりが生まれたそうです。休日にまとまった時間を確保できるようになったことで、物件探しや資金計画といった開業準備も着実に進められるようになりました。
家庭内でも心に余裕が持てるようになり、自分の趣味にも時間を割けるほど余裕が生まれるようになったそうです。
転職を決断した決め手
「今の働き方では、いつまでも開業の準備が進まないかもしれない」と思ったことが転職の大きなきっかけでした。開業という明確な目標があったからこそ、具体的に動くための" 時間 "と" 環境 "が必要だと判断し、勤務条件や裁量の明確なクリニックへ転職するという選択に踏み切った事例です。
事例3.救急科/30代/男性 | 病院からの転職
共働き家庭での育児負担や将来の働き方を見据え、柔軟な勤務体制を求めて転職を決断した事例です。
抱えていた課題
この事例の男性医師は、夫婦ともに医師で共働きをしています。そうした生活の中、家庭内の役割分担に悩みを抱えていました。奥様が眼科医として多忙で帰宅が遅くなる日が多かったため、平日の子どものお迎えや家事の一部を担う必要があったのです。
将来的には開業も視野に入れていましたが、当時の勤務先では時間の調整が難しく、仕事と家庭の両立が困難になりつつありました。現状では生活を回すだけで精一杯な状況でした。
選択した働き方
育児と仕事のバランスを取りやすくするため、週4日勤務かつ時短勤務が可能な一般内科のクリニックへ転職されました。ある程度余裕のある業務内容を重視して職場を選んだ結果、平日の保育園のお迎えや家事にも無理なく参加できるようになり、家庭との両立が現実的になったといいます。
当初は妥協もあったものの、実際には限られた時間で多くの患者さまを診る必要があり、短時間で状況を見極め、的確に説明・処方する力が自然と鍛えられたそうです。また、多様な症状の患者さまに対応する中で、必要に応じて適切な医療機関へ紹介する判断力や、自らの裁量で柔軟に診療を進める力も身についたと実感されています。
結果的に、生活リズムの安定に加え、診療スキルや判断力といった実践力も高まった、前向きな転職となったようです。
ワーク・ライフ・バランスの変化
この事例では、勤務時間をコントロールできるようになったため、家庭との時間的な調整がしやすくなったそうです。日常的な家事や育児に関わる中で、家族全体の生活リズムが整ってきたと実感していました。
子どもの成長を間近で感じられる喜びや、夫婦間の役割分担が自然とできている点にも満足感を覚えているそうです。週4日勤務という働き方が、ライフスタイルに合っていたのかもしれません。
転職を決断した決め手
「家のことを任せきりにするのは難しい」と感じたことが、転職を考え始めるきっかけだったようです。共働きである以上、どちらか一方が無理をするのではなく、できる範囲で分担する方が現実的だと判断されています。
将来的に開業という目標がある中で、今は無理をせず、足元を固める働き方を選ぶことが必要だと感じたようです。
ワーク・ライフ・バランス改善のための転職で工夫した点
転職によってワーク・ライフ・バランスを整えるには、何を重要視するかが大切です。給与などの報酬面だけでなく、勤務日数や当直の有無など、実際の働き方がどうなっているかの情報も集めた方が良いでしょう。
たとえば今回の事例では、以下の点が共通していました。
- 子育てとの両立
- キャリアに向けての時間の確保
- 自分自身のプライベートな時間の確保
転職において妥協できない部分を決めておくことは重要です。ワーク・ライフ・バランス改善を目的に転職をする場合は、まず自分がどのような生活を送りたいのかをイメージし、譲れない部分を明確にするところから始めましょう。
医師のワーク・ライフ・バランス改善には転職も選択肢の1つ
今回の事例にあるように、現職に不満がある場合、転職はワーク・ライフ・バランスを改善する選択肢の1つになります。現在と大きく勤務環境が変わることで、理想の働き方ができるようになる可能性があります。
ワーク・ライフ・バランスを改善する方法としては、転職以外にも非常勤勤務になったり、転科したりといった方法がありますが、職場を変える転職と比較すると変化の大きさは小さいでしょう。
ただし、転職には一定の準備や時間が必要です。焦って決断すると、失敗してしまうリスクもあります。そのため、余裕を持って行動するようにしましょう。
忙しい医師こそ「転職コンサルタント」の活用を
とはいえ、日々の業務が多忙で「転職活動に割く時間がない」という声もよく聞かれます。そんなときに頼れるのが、医師の転職に特化した「転職コンサルタント」の存在です。
希望条件をヒアリングしたうえで求人を探してくれたり、ワーク・ライフ・バランスをどう改善するかの相談に乗ってくれたりと、情報収集や交渉を代行してもらえるのが大きなメリットです。
特に、医師の転職に特化した紹介会社では、非公開求人の紹介や勤務条件の交渉、キャリアプランの整理なども対応してくれるため、時間に余裕がない方でもスムーズに転職活動を進めることができます。
医療業界に特化した転職支援サイト「ドクタービジョン」で理想の働き方を実現
医師のワーク・ライフ・バランスを見直したいと考えている方には、医師専門の求人・転職サイト「ドクタービジョン」の活用をおすすめします。
ドクタービジョンは、日本調剤グループのメディカルリソースが提供する医師専門の紹介サービスです。全国に拠点を持ち、各地域の医療機関を実際に訪問することで、求人票では分からないリアルな情報をご提供しています。
また、医療業界に精通したコンサルタントが、先生のご経験や希望を丁寧にヒアリングしたうえで、キャリアプランの整理から職務経歴書の作成、内定後のフォローまで一貫してサポート。 給与や勤務時間など言い出しにくい交渉も代行いたしますので、ご自身の時間を確保しながら安心して転職活動を進めていただけます。
「理想の働き方を実現したい」「今の環境を見直したい」とお考えの先生は、ぜひ一度ドクタービジョンにご相談ください。
医師のワーク・ライフ・バランスは改善できる!キャリアを諦める前に方法を模索しよう
ワーク・ライフ・バランスに悩みを抱えている医師の状況を変える方法は、決して1つではありません。勤務形態の見直しや、職場環境を変えることで、無理なく仕事と生活を両立できるようになった例は数多くあります。
実際に転職や働き方の調整によって、ワーク・ライフ・バランスが整った先生もいらっしゃいます。自身のキャリアや生活を見つめ直す中で、これまで見えてこなかった選択肢が開ける可能性もあるでしょう。中でも転職は、環境を大きく変える方法として検討の価値は大いにあります。
今回紹介した転職で環境を変えた事例を参考に、ワーク・ライフ・バランスの改善を試みてみてください。
なお、ドクタービジョンでは、経験豊富なコンサルタントが先生のキャリアプランを一緒に考えながら転職先をご紹介いたします。これまでのご経験や適性、ライフプランを尊重しながら、一人ひとりに沿った提案をしております。無料でご利用いただけますので、ぜひ、下記リンクよりお気軽にご相談ください。
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