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2018年度より発足した新専門医制度は、「基本領域」と「サブスペシャルティ領域」の二階建て構造であることが特徴のひとつです。
医師は2年間の臨床研修を終えると、原則的には19の基本領域いずれかの専攻医となり5年間の研鑽を積み、その後はさらなる専門性の習得を目指して23のサブスペシャルティ領域の研修を行います。
サブスペシャルティ研修には「プログラム制」「カリキュラム制」があり、ライフイベントなどにあわせて選択できるケースも。今回は、サブスペシャルティ研修における「プログラム制」「カリキュラム制」について詳しく解説します。
- 新専門医制度における「プログラム制」「カリキュラム制」とは?
- サブスペシャルティ研修ではプログラム制、カリキュラム制どちらも選択可能
- サブスペシャルティ研修ではプログラム制、カリキュラム制どちらを選ぶべき?
新専門医制度における「プログラム制」「カリキュラム制」とは?
基本領域研修は、基本的に「プログラム制」での実施となりますが、基準が厳密なため、研修を継続できなくなる医師も多く、単位制をとる「カリキュラム制」での研修が認められるケースがあります。まずは、違いについて見てみましょう。
プログラム制とは?
年次ごとに定められたプログラムで研修を行っていく方法です。多くは、大学病院などの基幹病院といくつかの連携病院をローテートして研鑽を積みます。基準が厳密であり、研修を受ける期間は規模の大きないくつかの医療機関で研鑽を積まなくてはなりません。
とくに基本領域の研修に関しては、医師として習得すべき標準治療を集中的に学ぶ期間であるとされ、より質の高い専門医を養成するためには厳密に定められた研修を行うことが望ましいと考えられています。
一方で、厳密な研修コースが決められているため、柔軟な研修が行えないことも問題視されています。場合によっては研修を途中で中断する必要のある医師もおり、必ずしも質の高い専門医を養成する方法とならない場合もあるのです。
カリキュラム制とは?
各学会が定めた必要な単位数を取得し、経験が必要と定められる症例数を満たせば専門医試験を受けることができる研修システムです。上述した通り、新専門医制度での研修は日本専門医機構が認めた研修プログラムに厳密に従う研修が行われます。しかし、プログラム制はローテートする医療機関や時期も決められているため、自治医科大学出身者や地域枠入学者など一定期間へき地勤務を義務とされる医師、妊娠・出産で研修を中断する医師などは、専門医試験の受験資格が得られない可能性があると指摘されていました。
そこで導入されたのが、厳密なプログラムによらず柔軟に研修を行うことができる「カリキュラム制」です。このコースは、フルタイムで医療機関に勤務した1ヶ月を「1単位」と換算し、単位をすべてクリアすることが必要です。しかし、期間に定めはないため、研修を一時中断することも可能。また、育児や介護などの事情で時短勤務となった場合も勤務時間に応じた単位取得ができます。さらに、プログラム制で研修を開始した後に出産などの事情がある場合は、カリキュラム制に切り替えることができるのです。なお、平成31年度には基本領域105人の専攻医がカリキュラム制を選択しています。
サブスペシャルティ研修ではプログラム制、カリキュラム制どちらも選択可能
サブスペシャルティ領域の研修は、プログラム制、カリキュラム制どちらのコースも選択することが可能です。ただし、学会によっては一方しかないケースもあり、選択できる要件が異なります。自身が希望するサブスペシャルティ領域の研修がどのように行われるのか、各学会のウェブサイトなどを確認するなどして正確に把握しておきましょう。また、現在では研修を連動して行うケースもあります。「連動研修」の場合も研修の流れは通常と異なりますので、求められる要件や具体的な残りの研修期間を把握しておくことが大切です。
サブスペシャルティ領域は関連する分野の基本領域の専門医を取得していく必要があります。そのため、医師は初期臨床研修医の2年目に基本領域を選択する段階で、将来的に選択する可能性のあるサブスペシャルティ領域も見据えておいたほうがよいでしょう。
どちらのコースを選択するかによって、研修にかかる期間や働き方は大きく異なります。医師としてのキャリアの築き方にも影響を与えますので、基本領域を選択する際には、興味のあるサブスペシャルティ領域で、どのような研修が行われているのか確認しておくことをおすすめします。
サブスペシャルティ研修ではプログラム制、カリキュラム制どちらを選ぶべき?
ここでは、サブスペシャルティ研修におけるメリットとデメリットを比較してみましょう。
プログラム制のメリット・デメリット
学会が定める厳密な内容に則ったサブスペシャルティ研修が行われます。プログラムに従って一定の研鑽を積めば、様々な研鑽を積むことができるでしょう。一方で、柔軟性がないため、へき地勤務などの義務がある医師、育児や介護で一定期間休職している医師、海外留学をする医師などは研修を継続できないこともあります。また、研修を実施できる医療機関は都心部に集中しているため、医師の偏在化が起こることも懸念されているのが現状です。
カリキュラム制のメリット・デメリット
大きなメリットは、期間を定めない柔軟な研修を行えることです。「即戦力」として様々な地域の病院に配属されるケースも多いため、医師としての貢献しながらさらなる専門性の習得を目指して研修を両立させることができます。しかし、明確な研修期限が定められてないため、研修期間が長くなる可能性があります。ほかにも集中的な研修を行えない可能性もあり、研修の効率が悪くなることもデメリットのひとつと言えるでしょう。
このように、サブスペシャルティ研修のコースにはそれぞれにメリットとデメリットがあります。プライベートや希望する働き方に合った研修方法を選ぶようにしましょう。
自分のライフスタイルや希望に合った研修の選択を
新専門医制度での研修方法は、プログラム制とカリキュラム制の2つのタイプがあります。厳密な研修プログラムに従ってローテートするプログラム制に対し、決められた単位の修得を積み上げることで専門医試験受験資格を得ることができるカリキュラム制。どちらもメリット・デメリットがありますが、カリキュラム制により、へき地勤務義務のある医師や妊娠・出産する医師も働き方やライフイベントなどにとらわれず、十分に研修を受けることが可能になりました。
また、サブスペシャルティ研修ではコースを選択することが可能です。どのような働き方をしたいのかしっかり吟味してコースを選択するようにしましょう。また、学会によって要件は異なりますので、十分に確認することも大切です。
ドクタービジョン編集部
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