女性医師 子育て 公開日:2022.09.14

女性医師と子育ての両立は難しい?現状と解決策、子育て中の働き方

女性医師と子育ての両立は難しい?現状と解決策、子育て中の働き方

近年、女性医師の数はますます増えており、今や医学部入学者の約3人に1人は女性となっています。若い世代の医師ほど女性の割合が高くなっており、結婚や子育てを経たのちのキャリアの積み方が大きな課題となってきました。一般的に医師は激務のイメージが強いため、子育てとの両立は難しいと思われがちです。しかし、子育てと両立しながら医師としてのキャリアを積んでいる女性医師はたくさんいます。

そこで今回は、女性医師の子育てと仕事の両立や働き方のコツについて詳しく解説します。

ドクタービジョンでは女性医師の

キャリアの大きな分岐点「出産・子育て」

キャリアの大きな分岐点「出産・子育て」

出典:女性医師の就業率のM字カーブ(『女性医師に関する現状と国における支援策について』平成年度厚生労働科学研究「60日本の医師需給の実証的調査研究」)

現在、医師の全体数のうち女性が占める割合は29歳以下で35.5%、30代で30.1%と、若い世代ほど高くなっています。一方、男性医師の就業率は55歳まで約90%を維持しているのに対して、女性医師ではいわゆる「M字カーブ」を描いて大きく変動。35歳にかけて76.0%まで落ち込み、その後から50歳にかけては徐々に上昇していく特徴があります。

このような男女で見られる就業率の違いの大きな要因の一つが、「出産・子育て」です。男性の家事・育児が一般的になってきた一方で、現在でも子育てにかかる負担には格差を感じている人は少なくないのではないでしょうか。とくに女性医師の配偶者は同様に医師であるなど、多忙な職種に就いているため、ワンオペでの子育てを余儀なくされているケースも多いのが現状のようです。

日本医師会男女共同参画委員会が行った『女性医師の勤務環境の現況に関する調査』(2009年、2017年)によると、乳児の子育てをしながら常勤での勤務を続けている女性医師の割合は、2009年が68.0%なのに比べて、2017年では76.5%と上昇しています。一方、2017年における残りの23.5%は時短勤務や非常勤勤務です。

さらに、同年の時短勤務や非常勤の人の割合は、幼児を子育て中の場合で29.0%、学童児を子育て中の場合で21.2%とおよそ同水準となっています。この数値から、常勤で働く女性医師は増加傾向にあるものの、出産や子育てをきっかけに仕事をしばらくセーブする女性医師が一定数いることがわかります。

子育て中の女性医師がぶつかる壁

子育て中の女性医師がぶつかる壁

女性が子育てと仕事を両立しようとすると、多くの場合さまざまな壁にぶつかる傾向があります。では、女性医師の場合には具体的にどのような壁があるのでしょうか。次で詳しく見てみましょう。

子どもの預け先

前述の『女性医師の勤務環境の現況に関する調査』によると、「普段子どもの面倒を見ている人」という質問に対して「女性医師本人と保育所など」と回答した人が36.4%で最多。子育て中の女性医師の多くは、夫はもちろんのこと、保育所や両親の協力を得ながら勤務を続けているという結果になりました。

また、近年では、医療機関内に託児所が併設されているケースもあります。安心して預けられる施設を探すことが、勤務継続の第一関門と言えるでしょう。

職場の理解

『平成25年臨床研修修了者アンケート調査 厚生労働省調べ』(2013年)によると、子育てをしながら勤務を続けるうえで必要と考えられることの1位は「職場の理解・雰囲気」となりました。子育て中の女性医師は労働時間が限られてしまい、当直やオンコールなどに対応できないケースも少なくないでしょう

そういった状況でも、周囲の支援や理解が得られる職場であれば働き続けやすい環境と言えるでしょう。ただし、周囲の配慮を当然のことと受け止めず、限られた時間のなかで最大限のパフォーマンスを発揮して、少しでも貢献しようという意識は忘れないようにしましょう。

家族の支援

診療科や職場によっては、子育て中でもオンコール対応を求められることもあります。そうした場合には、家族や両親からの支援が重要になってきます。とはいえ、そうした支援が得られず、一時的な休職を選択する女性医師も少なくありません。子育てをしながら働き続けたい女性医師にとって、家族の支援は大きなポイントとなります。

配偶者の転勤

配偶者の転勤も、女性医師が勤務を継続していくにあたり突き当たる壁の一つです。前述の通り、女性医師の配偶者は医師であるケースが多くなっています。20~30代など子育て中の年代の医師は異動が多い傾向にあるため、家庭を優先して配偶者の転勤に伴う退職を余儀なくされる女性医師は少なくないでしょう。転勤先に就業できる場所がないと、そのまま休職せざるを得ないケースもあるようです。

女性医師がうまく活用したい制度

女性医師がうまく活用したい制度

医師に限らず働く女性が増えているなか、子育てと仕事の両立を可能にすべくさまざまな制度が整備されてきています。これらをうまく活用するのも、子育てと仕事を両立するポイントです。次で、どのような制度があるのか見ていきましょう。

短時間勤務制度

厚生労働省が定める「育児・介護休業法」により、子育て中や介護中の労働者は労働時間を短縮して勤務できる短時間勤務制度があります。1日の労働時間は原則6時間とされていますが、医師確保を目的とした短時間正規雇用の導入により以下のような働き方も可能です。

  • 午前のみもしくは午後のみの1日4時間勤務(週20時間)
  • 1週間で2日半の勤務(週20時間)
  • 始業時間や終業時間の繰り上げ・繰り下げ(週30時間) など

短時間勤務制度や短時間正規雇用を活用すれば、休職せずに医師としてのキャリアを重ねていくことができます。

男性の育児休業制度

近年、男性の育児休業の取得は推奨されています。たとえば令和4年4月1日より施行された「育児・介護休業法」の改正では、男性の育児休業取得促進のために2022年10月に「産後パパ育休」が創設されたり、育児休業の分割取得が可能になったりするなど段階的に制度の見直しが進む予定です。

こうした取り組みにより男性の育児休業の取得ハードルが下がれば、配偶者が育児休業を取得し、女性医師がフルタイム勤務で早めに復帰するというケースもあります。出産後に早い段階で復帰したいという方は、配偶者と相談してみるとよいでしょう。

職場ごとの制度

職場の制度を活用するのも一つの手段です。たとえば、フレックス勤務院内託児所ベビーシッター斡旋などの制度が使える職場もあります。そのほか、当直やオンコールが免除されるケースもあるので、ご自身の職場にどのような支援制度があるか確認してうまく活用しましょう。

子育て中の女性医師の働き方

子育て中の女性医師の働き方

最後に、子育て中の女性医師が無理なくキャリアを重ねるにはどのような働き方が考えられるのか見ていきしょう。ロールモデルの一つとして、参考にしてみてください。

ケース1:時短勤務制度を活用して仕事と子育てを両立

前述の通り、子育て中の職員は時短勤務の申請が可能です。フルタイムでの勤務が難しい場合、子育てが一段落するまでは時短勤務でキャリアを継続する選択肢を取る方も増えています

ケース2:フリーランスとしてスポット的な働き方をする

医師は、常勤として医療機関に籍を置かなくても、いわゆる「フリーランス」としてスポットバイトなどをすることも可能です。フリーランスは自身の都合に合わせて勤務時間や勤務日を選べるので、子育て中の女性医師も無理なく継続できるでしょう。とくに専門医の資格をもっている医師は、スポットバイトの需要も高いのでおすすめです。

ケース3:実家・義実家の近くに住み、両親のサポートを受けながら働く

出産前と同様に当直やオンコール対応などもこなしながら、医師としてのキャリアを積んでいきたいという方は、両親のサポートを受けられる環境を整えるのもよいでしょう。ただし、家族間であっても感謝の気持ちを伝えることは忘れないようにしましょう。年齢を重ねて体力が低下している両親にとって、子育ては重労働です。誠意をもってお願いし、良い関係を維持できるよう努めましょう。

支援制度をうまく活用しつつ周囲の協力を得ることがカギに

女性医師にとって、出産や子育てと両立しながら医師としてのキャリアを継続していくことは大きな課題となっています。「子育てや家事は夫婦で共に行うもの」という考え方が一般的になってきてはいますが、やはり子育て中の女性の負担はまだまだ大きいのが現状です。

一方で、子育てと仕事の両立を叶えるための制度は少しずつ整備されてきています。周囲の協力や利用可能な制度・支援を最大限活用し、理想とする医師としてのキャリアを築いていきましょう。

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