美容外科への転科・転職を検討する際、気になるポイントの一つが実際の給与水準ではないでしょうか。
「美容外科医は年収が高い」というイメージは一般的ですが、技術や資格の有無によって得られる年収も異なるため、転科は慎重に検討する必要があります。
このコラムでは、美容外科医の平均年収が高い理由や診療科別・地域別の年収の違いについて詳しく解説します。
*1:2025年9月時点の「ドクタービジョン」掲載求人をもとに、平均値を算出しています。

執筆者:中山 博介
美容外科医の平均年収

美容外科医の平均年収は2,674万円*1。今回の調査で対象とした20の診療科の平均年収1,631万円*1を大きく上回る結果でした。
厚生労働省の調査によれば、美容外科医は医師全体のわずか0.4%、平均年齢は42歳(全体平均50.3歳)*2 であり、人数は少ないものの、若くして高年収を得やすい診療科と言えます。
診療科別の平均年収ランキングの上位は下表のとおりです。
<美容外科医の平均年収【診療科別】*1>
| 順位 | 診療科 | 平均年収(万円) |
|---|---|---|
| 1位 | 美容外科 | 2,674 |
| 2位 | 形成外科 | 2,173 |
| 3位 | 産婦人科 | 1,844 |
| 4位 | 泌尿器科 | 1,731 |
| 5位 | 耳鼻咽喉科 | 1,704 |
2位の形成外科も比較的高い水準ですが、そこから大きく差をつける形で美容外科医が堂々の1位という結果になりました。
次に、都道府県別・地域別の平均年収ランキングを見てみましょう。
<美容外科医の平均年収【都道府県別】*1>
| 順位 | 都道府県 | 平均年収(万円) |
|---|---|---|
| 1位 | 岐阜県 | 4,350 |
| 三重県 | ||
| 3位 | 長野県 | 4,233 |
| 4位 | 富山県 | 3,800 |
| 5位 | 栃木県 | 3,750 |
| 6位 | 高知県 | 3,425 |
| 7位 | 福井県 | 3,250 |
| 8位 | 愛媛県 | 3,100 |
| 9位 | 岩手県 | 3,050 |
| 福島県 | ||
| ︙ | ||
| 35位 | 滋賀県 | 1,800 |
| 36位 | 鹿児島県 | 1,750 |
| 37位 | 大分県 | 1,600 |
<美容外科医の平均年収【地域別】*1>
| 順位 | 地域 | 美容外科医の平均年収(万円) |
|---|---|---|
| 1位 | 北陸・信越・東海 | 3,450 |
| 2位 | 東北 | 2,983 |
| 3位 | 中国・四国 | 2,787 |
| 4位 | 関東 | 2,524 |
| 5位 | 近畿 | 2,518 |
| 6位 | 九州・沖縄 | 2,272 |
| 7位 | 北海道 | 2,056 |
| 全国平均 | 2,674 |
都道府県別ランキングでは、岐阜・三重をはじめとする地方県が上位を占め、東京や大阪などの大都市がトップ10に含まれていない点が特徴的です。地域別で見ても、都道府県別ランキングの上位4県が含まれる北陸・信越・東海エリアが最も平均年収が高く、美容外科医の年収は「都会だから高い」というわけではないことがわかります。
また、美容外科医の年収は地域だけではなく、勤務形態や業務内容によっても大きく左右されます(後述)。
美容外科医の平均年収が他科より高い理由
美容外科医の平均年収が他科より高い大きな理由は、美容医療が保険診療ではなく自由診療であることです。
2023年に実施された「第24回医療経済実態調査」によると、一般病院(保険診療)に勤務する医師の給与は近年横ばいで推移しており*3、その大きな要因は診療報酬制度にあると言えます。
保険診療の場合、医療機関の売上の源泉は厚生労働大臣が決定する診療報酬点数です。医師の給与にも影響する財源ですが、近年の診療報酬はマイナス改定が続いていました。2024年度の改定では、本体価格(人件費)はプラスでしたが(+0.88%)、薬価・材料価格が1.00%引き下げられ、改定率全体では-0.12%でした*4。
しかし2026年度の診療報酬改定は、ついに12年ぶりのプラス改定(+2.22%)となりました。とくに本体価格が+3.09%と*5、高い水準で設定されたことが注目に値します。赤字経営が深刻化している病院の支援や医療従事者の処遇改善に、政府が積極的に取り組んでいくメッセージととらえて良いでしょう。
とはいえ、近年の物価高も加味すると(2025年12月時点で、消費者物価指数は前年同月比2.1%上昇*6)、医療機関の利益は上がりにくく、今後も保険診療に従事する勤務医の給与は上がりにくい構造が続くと推測されます。
一方で、美容外科領域は診療報酬に縛られない自由診療であるため、提供する医療の価格を各医療機関が独自に設定できます。
法外な価格設定は患者離れを招きますが、美容医療そのものの需要が増加していることから、美容クリニックの売上・利益は下表のとおり増加傾向にあります。
<美容クリニックの売上・利益>
| 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
|---|---|---|---|
| 売上(百万円) | 211,967 | 241,418 | 313,759 |
| 利益(百万円) | 6,136 | 6,741 | 8,265 |
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201494_1527.html(2026年2月16日閲覧)
クリニックの利益が伸びているため、勤務する美容外科医の年収も増加し、他科の医師と大きな差が生じているのが現状です。
しかし近年では、多大な広告宣伝費や人件費、好立地での開業コスト、最新設備への投資などが経営を圧迫する要因となり、売上に対して利益の伸びは鈍化傾向にあります。
実際に、2015~2023年までは休廃業・解散・倒産件数の合計が年1~5件で推移していましたが、2024年は過去10年で最多の7件(休廃業・解散3件、倒産件数4件)に増加しており*7、競争が激化しているのが現状です。
令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況|厚生労働省
└結果の概要 1 医師(*2)
第24回医療経済実態調査 結果報告に関する分析|厚生労働省・健康保険組合(*3)
第24回医療経済実態調査の報告(令和5年実施)│厚生労働省
なるほど!診療報酬|日本医師会
【2024年診療報酬改定】インフレ率2.4%では実質1.62%のマイナス改定|全国保険医団体連合会(*4)
令和8年度診療報酬改定について|厚生労働省(*5)
2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)12月分|総務省(*6)
TSRデータインサイト「「美容医療」市場は3年間で1.5倍に拡大 "経営力"と"施術力"で差別化が鮮明に」|東京商工リサーチ(*7)
▼診療報酬改定の概要に関する詳しいコラムはこちら
2026(令和8)年度診療報酬改定では何が変わる?概要・スケジュールを解説【医師向け】
2024年度診療報酬改定の注目ポイントは?わかりやすく解説
美容外科医の年収を左右する働き方と役職

保険診療の医療機関では、ある程度働き方が決まっているため個人差は生じにくいですが、美容外科医の年収は勤務形態(週の勤務日数や土日勤務の有無など)、給与形態(固定給か歩合制か)、実施する手術内容などによって大きく変動します。
所属する医療機関によっても異なりますが、多くの場合は固定給に加えて、個人の売上に応じた追加報酬、役職給(研修指導医や院長などの管理職)、資格給(形成外科や皮膚科の専門医の有無)などのインセンティブを含みます。
院長職などの役職に就けば、さらに高給を目指せるほか、自身で開業して理事長職に就けば、グループの成長とともに1億円以上の年収を得られる可能性もあります。
ただし、理事長や院長職に就く場合は看護師や受付スタッフ、カウンセラーなど多職種の人事・労務管理が必要となるため、年収増が見込める代わりに負担も大きくなる点に注意が必要です。
美容外科医として高年収を得る際のリスクと責任
高年収を得られる美容外科ですが、他科にはない複合的なリスクを伴います。
高額な治療費を支払っている患者さんにとって、「医師の技術不足」「説明不足」「料金面の齟齬」などはすべて怒りや不満につながり、最悪の場合は訴訟に発展しかねません。
また、SNSでの誇大広告が原因で訴訟となる可能性もあります。
年収に見合った技術を身に付け、患者さんの立場になって接することが、美容外科医として働く上で何より重要です。
まとめ
美容外科は他科と比較して高年収であり、開業して自身のグループが成長すれば年収1億円も目指すことができる診療科です。
自由診療という特性上、今後も需要増加に伴い、さらに平均年収が上がる可能性も秘めています。
一方で、高額な自費診療を提供するための技術研究が重要であり、トラブル対応のリスクも少なくありません。現在の職場や働き方、今後のキャリアプランを見つめ直した上で、美容外科を選択肢の一つとして検討してみると良いでしょう。
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