「これまで臨床一筋で走り続けてきたが、定年を前に自分は他に何ができるのか見当もつかない」
「医師以外の仕事に関わる機会がなく、どうやって新しい仕事を探せばいいのかわからない」
いざ「セカンドキャリア」を意識した際、このような戸惑いを感じることは決して珍しいことではありません。
この記事では、多くの先生や採用担当者と関わってきたドクタービジョンの転職コンサルタントが「医師のセカンドキャリア」について解説します。「セカンドキャリアを考える際に直面する不安」や「活躍できるセカンドキャリアの選択肢」、「キャリア移行を円滑に行う方法」も紹介しますので参考にしていただければ幸いです。
先生が自分らしく歩める「新たな場所」を見つけることは十分可能ですので、まずは肩の力を抜いて読み進めてみてください。
<この記事で分かること>
- 50代・60代の医師に対する市場実態と求められる人物像
- セカンドキャリアで活躍できる具体的な選択肢
- 当直やオンコールを免除しながら年収を維持する方法

アドバイザー:T.O
2018年入社 担当エリア:関東
医師がセカンドキャリアを考える際に直面する不安

医師がセカンドキャリアを考えた際、多くの場合で以下のような不安に直面します。
- 自分に合った求人の探し方が分からない不安
- 年齢がネックになり採用されないのではという不安
- 体力的な衰えへの懸念と、働き方の持続性に対する不安
自分に合った求人の探し方が分からない不安
セカンドキャリアを考える際に最初に感じるのが「次の仕事をどうやって探せばいいかわからない」という戸惑いです。これまで医局や病院の人事異動の中でキャリアが動いていたため、転職活動の経験が少ない先生も多くいらっしゃいます。
いざ求人を探そうとしても「どの求人サイトを見ればいいのか」「膨大な情報の中から、どう見極めればいいのか」といった具体的なステップで手が止まってしまうケースも少なくありません。しかし実際のところ、セカンドキャリア希望の医師に対する医療機関のニーズは一定数存在しており、新たな募集が次々と生まれる一方で人気の求人はすぐに埋まってしまうなど状況は常に動いています。こうした点から考えて、「どう動けばいいかわからない」という状態のまま時間が経過してしまうことは、避けたいリスクだと言えるでしょう。
年齢がネックになり採用されないのではという不安
多くの先生が「年齢がネックになって採用されないのでは」という不安を持っています。しかし、採用側が医師に期待する役割や能力は、年代によって異なる傾向があります。そのため、年齢そのものがネックで採用されないと過度に心配する必要はないでしょう。

採用側は応募者の年齢を当然把握したうえで、他のスタッフとのバランスや診療体制における役割も考慮して採用を判断しています。
セカンドキャリアの医師を採用する場合、採用側は即戦力というよりも「安定した診療能力や指導力」などを求めることが多い傾向があります。そのため、年齢そのものよりも、「自分に何ができるか」「その職場でどのような貢献ができるか」を具体的に示せるかどうかが採用の分かれ目になります。
実際、ドクタービジョンがお手伝いした転職支援実績(2025年度)でも、年齢を問わず多くの方が新たな職場で活躍されています。
<2025年度の実績例(最高齢でのご成約)>
常勤での転職:87歳
非常勤での転職:75歳
体力的な衰えへの懸念と、働き方の持続性に対する不安
「新しい職場で期待されるパフォーマンスを維持できるだろうか」という不安も、多くの先生が直面する不安です。
特に急性期の第一線で活躍されていた先生ほど自身の体力の衰えに敏感になりがちです。その結果、「週5日勤務自体がもう限界なのではないか」「新しい環境に適応できるだろうか」といった不安を抱えるケースもあります。
しかし、セカンドキャリアの現場では必ずしも「週5日・フルタイム」である必要はありません。先生のこれまでの豊富な経験を活かしつつ、心身に無理のないペースでキャリアを続ける道は数多く存在します。
次の章では、ベテラン医師だからこそ活躍できるセカンドキャリアの選択肢を具体的にご紹介します。
医師が活躍できるセカンドキャリアの選択肢

医師のセカンドキャリアには、多くの選択肢があります。中でも活躍が見込める以下のキャリアに関して、どのようなものか詳しく見ていきましょう。
- 地域医療・慢性期医療での安定したポジション
- 健診センターでの診療業務
- 介護施設・療養型病院の管理医師
- 産業医・嘱託医という働き方
地域医療・慢性期医療での安定したポジション
地域のかかりつけ医や慢性期医療を担うクリニック・病院は、セカンドキャリアの選択肢として多くの先生に選ばれやすい領域の1つです。急性期と比べて緊急対応の頻度が少なく、患者さまとの継続的な関係を築きながら働けるため、体力的・精神的な負担が軽減しやすくなります。
常勤だけでなく、週2~3日の非常勤として複数のクリニックや施設を掛け持ちするという選択肢もあります。高単価の非常勤勤務を組み合わせることで、常勤と同程度の収入を維持しながら勤務の柔軟性を高める働き方を実現している先生も少なくありません。
健診センターでの診療業務
健診センターは、セカンドキャリアの場として比較的選ばれやすい職場の1つです。業務内容がルーティン化されており、当直や緊急対応がほぼ発生しないため、規則正しい生活リズムを保ちやすい傾向にあります。
特に、内科系・外科系を問わず幅広い診療経験を持つベテラン医師は、健診現場での所見判断においても即戦力として活躍するケースも多いです。
非常勤としての勤務を受け入れているセンターも多く、中には週数日からセカンドキャリアをスタートさせる先生もいらっしゃいます。
介護施設・療養型病院の管理医師
老健施設や介護医療院・療養型病院の管理医師は、ベテラン医師が活躍しやすいポジションの1つです。施設によっては常勤1名体制のこともあり、「先生がいてくれるだけで安心」という形で重宝されるケースもあるようです。

老健施設・療養型病院・介護医療院といった高齢者医療の現場では、医師不足が続いているエリアが多く、ベテラン医師の採用意欲が引き続き高い状況です。
こうした施設では、採用側も「長く安定して勤務してもらえるか」という視点を重視する傾向にあり、即戦力としての手技力や診療スピードよりも、健康面で問題がなく継続勤務が期待できる点が採用判断において重要な要素になっているケースも見られます。
こうした点を加味して、指導医や評議員・教授などの実績を持つ先生は、研修医の受け入れ体制が充実している大きな病院での指導的ポジションに就けるケースもあります。
また、スタッフとの良好な関係が施設全体の安定につながるため、「この先生がいるから離職が減った」というように、意思疎通ができてコミュニケーション能力の高いベテラン医師が重宝される環境です。
産業医・嘱託医という働き方
産業医や嘱託医は、医療機関以外での活躍の場として選ばれるキャリアとなります。特に、企業の健康管理や職場巡視・従業員との面談対応などを担う産業医は、臨床とは異なる形で医師としての知識を活かせる領域です。
ただし、企業側にも定年制度があるため、産業医への転向は一般的に50代までが現実的な目安であり、60代以降に新たに産業医として採用されるケースは少ない傾向にあります。
そのため、もし将来的に企業内での勤務を視野に入れているのであれば、60代を待たず、50代のうちに検討を始めることがセカンドキャリアを成功させる大きなポイントとなります。
医師がセカンドキャリアでも年収を維持する方法

セカンドキャリアを考えるにあたって、気がかりなのは年収面ではないでしょうか。ここからは、以下に分けて年収を維持する方法を紹介します。
- 収益への貢献度を数値で示す
- ベテラン医師の指導力・安定感という武器を使う
- 無理のないペースで働ける高待遇求人の特徴を把握する
収益への貢献度を数値で示す
当直やオンコールを免除してもらいながら年収を維持するためには、「具体的な数値を用いて収益への貢献度を明確に示せるか」が交渉のポイントとなります。感覚的な希望年収を伝えるだけでは、採用側との交渉が進みにくいケースが多いためです。
例えば、外来患者数の実績を根拠として提示するといった方法が有効です。「現職では月○名の外来患者を担当しており、同様の集患貢献が見込める」という形で数字を示すことで、交渉の土台が生まれやすくなります。

年収交渉では、あらかじめ外来患者数や処置実績を転職コンサルタントに共有し、客観的な根拠を用意したうえで交渉を代行してもらうと良いでしょう。
個人での直接交渉は、言い方によっては「額面ばかり重視している」と受け取られてしまう懸念があり、採用側との関係に影響が出る場合があります。そのため、採用側の内情も詳しい転職コンサルタントを介した交渉の方が、高条件を引き出しやすいケースが多くあります。
年収交渉に不安がある先生は、転職コンサルタントによる代行も積極的に検討してみてください。
ベテラン医師の指導力・安定感という武器を使う
長年の臨床経験で培われた指導力や判断の安定感は、セカンドキャリアにおいても十分に競争力がある武器です。特に、若手医師が多い職場では、ベテラン医師としての価値を積極的にアピールする方法が有効になります。
例えば、研修医の指導実績や後輩医師の育成に関わってきた経験がある場合は、そうした経験を具体的に伝えることで採用側の評価が高まる可能性があります。即戦力としての診療能力に加えて、「チームを安定させる存在感」を武器として打ち出せるかどうかが、ベテラン医師ならではの差別化ポイントとなるでしょう。
無理のないペースで働ける高待遇求人の特徴を把握する
当直なし・オンコールなし・週3~4日勤務といった条件でも、一定の年収水準を維持できる求人には、以下のような特徴があります。
- 医師不足が続いている地域の施設である
- 診療科の希少性が高い
- 施設の規模が小さく医師1名体制に近い
ただし、こうした求人は人気が高く、すぐに埋まってしまう可能性も高いです。希望に近い求人情報があればすぐに連絡がくるよう、あらかじめ転職コンサルタントに希望条件を伝えておくことがポイントとなります。
医師がセカンドキャリア移行を円滑に進める秘訣

セカンドキャリア移行を円滑に進めるための秘訣を、以下に分けて詳しく見ていきましょう。
- 新しい職場への適応能力を高める準備をする
- 成功している医師に共通する心構えとは
- これまでの功績を尊重する職場の見つけ方
新しい職場への適応能力を高める準備をする
セカンドキャリアへの移行を円滑に進めた先生に共通する項目の1つが、「新しい環境に適応しようとする姿勢を事前に整えていた」点です。特に老健施設や療養型病院では、看護師やケアマネジャーが医療チームの主体となる場面が多いため、「医師としての権威」よりも「チームの一員としての協調性」が求められます。
そのため、新しい職場の文化やルールを尊重しながら、自分の経験を押しつけない形で貢献していく姿勢が、セカンドキャリアを円滑に進めるための重要なポイントとなるでしょう。
成功している医師に共通する心構えとは
セカンドキャリアが充実している先生には、いくつかの共通した心構えが見られます。
- 年収が下がる可能性を事前に受け入れ、トータルの生活の質で判断している
- 「戦力として認めてもらう」という意識よりも「長く貢献する」という視点を持っている
- スタッフとの関係構築を優先し、職場に溶け込む努力を惜しまない
- 自分の健康管理を意識的に行い、長期勤務への信頼感を示している
- 「今の自分に何ができるか」を謙虚に棚卸しできている
特に健康面は、採用側にとっても「長く働いてもらえるか」という視点から重要視される要素です。年齢が高くなるほど、体調管理への意識そのものが、採用時の信頼感につながる傾向にあります。
公務員医師などの具体的な定年制度や、老後の資金準備について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
これまでの功績を尊重する職場の見つけ方
ベテラン医師の経験や実績を正当に評価してくれる職場かどうかは、求人票の文面だけでは判断しにくいのが実態です。実際の職場文化や既存スタッフとの関係性は、入職してみないとわからないケースも多くあります。
職場の受け入れ姿勢を見極めるうえで参考になるのが、「すでに同年代の医師が在籍しているかどうか」という点です。50代・60代以上の医師が継続して勤務している職場は、ベテラン医師の働き方や価値観を受け入れる土壌が整っている可能性が高いと言えるでしょう。逆に、若手中心の職場では、経験値の差がかえって距離感を生むケースがあります。
そのため、面接時には下記の3点を確認しておきましょう。
- 管理職や指導的立場の医師の年齢層
- 研修体制の有無
- これまでのキャリアをどのように活かしてほしいかという期待値

「これまでのキャリアを尊重してくれる職場かどうか」の確認は、個人で直接聞くのが難しい質問の1つです。転職コンサルタントを通して、職場の雰囲気・既存スタッフの年齢層・ベテラン医師の受け入れ実績などを事前に確認してもらうようにしましょう。
さらに、採用側に対して「長期勤務の意向」や「チームへの貢献姿勢」をあらかじめ伝えてもらうことで、面接前の印象形成にも働きかけられます。年齢などの制約が生じるセカンドキャリアの転職だからこそ、転職コンサルタントを活用することが、セカンドキャリアを円滑に進めるポイントになります。
理想のセカンドキャリアに向けて計画的に準備しよう

医師としてのセカンドキャリアは、「何もなくなる」のではなく、「新しい形で活躍し続ける」時期への移行と考えましょう。実際、定年後や急性期を退いた後も、医師としての経験と知識を必要としている現場は多く存在しています。
セカンドキャリアで大切なのは、現実的な条件への理解と、自分が新しい職場で何を提供できるかの棚卸しを早めにしておくことです。「年収が下がるかもしれない」「環境が変わる」という不安を先送りにせず、5年後・10年後の働き方をイメージしながら今から動き始められるかが、納得感のあるセカンドキャリアにつながります。
転職コンサルタントへの相談を含めて、今の段階から計画的に準備を進めていきましょう。
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