内科は医師が最も多く所属する診療科であり、ジェネラリストとして勤務医や開業医として働くだけでなく、健診業務や介護保険施設での勤務など、多彩な働き方がかなう点が魅力です。
一方で、さまざまな働き方が可能であるからこそ、働く地域や勤務形態によって年収にはかなりの幅があります。女性医師や20代の若手医師も多く、働き方や今後のキャリアも含めて気になる方は多いでしょう。
このコラムでは、内科医の地域別年収や多彩な働き方に対する収入の特徴、年収アップの方法について解説します。ぜひご一読ください。
*1:2025年9月時点の「ドクタービジョン」掲載求人をもとに、平均値を算出しています。

執筆者:中山 博介
内科医の年収は?
内科医の平均年収は1,599万円。全診療科の平均年収1,631万円をわずかに下回る結果でした*1。全診療科の平均年収とほぼ同じと考えて良いかと思います。
内科は、所属医師数が最も多い診療科です。厚生労働省の統計によれば、医師の約2割が一般内科医です。
全医師の平均年齢50.6歳に対し、内科医の平均年齢は59.3歳*2。多くの医師が長期間安定して収入を得られる診療科であるとも言えます。生涯年収はほかの診療科より高くなる可能性があると言えるでしょう。
また、内科は勤務形態(勤務医、開業医など)はもちろん、業務内容(健診なども含む)や施設業態(介護保険施設なども含む)、アルバイト業務の範囲など、多様な働き方があり得る診療科です。年収にも幅があるため、平均年収の数字はおおよその目安ととらえて読み進めてください。
【地域別】内科医の年収データ
内科医の平均年収を地域別に見てみましょう。
| 全国/地域 | 内科医の平均年収(万円)*1 |
|---|---|
| 北海道 | 1,788 |
| 東北 | 1,638 |
| 関東 | 1,672 |
| 北陸・信越・東海 | 1,580 |
| 近畿 | 1,523 |
| 中国・四国 | 1,519 |
| 九州・沖縄 | 1,536 |
| 全国 | 1,599 |
北海道や関東では年収の水準が高く、近畿や中国・四国と比べると差があることがわかります。内科医の平均年収には地域性があり、傾向としては西日本より東日本の方が高額になりやすいようです。
女性医師や20代医師の年収は?
内科医には、女性医師や20代の医師も多く含まれています。
厚生労働省の2024年の統計によれば、男性医師の平均年収が1,584万円程度であるのに対し、女性医師の平均年収は1,142万円程度*3でした。女性医師は出産や育児などのライフイベントによってフルタイム勤務が難しいケースも多いことから、男性よりも年収額が低い傾向にあります。
しかしライフイベントに合わせて多様な働き方を選びやすい点で、内科は女性医師が選択しやすい診療科と言えるでしょう。
また、20代(25〜29歳)の平均年収は973万円*4と概算されます。給与が低い研修医や専攻医期間にあたる医師が多いため、年収は低くなります。
令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況
令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種|政府統計の統計窓口 e-Stat
└「第1表:職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」より、「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で算出(*3)
└「第5表:職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」より、「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で算出(*4)
内科医の勤務形態と年収の関係

内科は、内臓・神経・血液など、体の内側の不調の原因を総合的に診断・治療する診療科です。その業務内容の幅ゆえに内科医は多彩な働き方が可能であり、年収も大きく変わります。
まずは、「勤務医」と「開業医」の違いに注目してみましょう。
勤務医の場合
古い調査になりますが、2012年に実施された『勤務医の就労実態と意識に関する調査』*5では、内科の勤務医の平均年収は1,247万円でした。これは当時の全診療科の平均である1,261万円とほぼ同水準です。その後、給与水準は上昇傾向にあり、2025年に行われた調査*6では、病院勤務医全体の平均年収は1,481万円となっています。
病院に勤務する勤務医は、緊急性や専門性の高い疾患を取り扱う機会が多くあります。小規模のクリニックや診療所では設置することが難しい検査機器を使えたり、入院患者さんの診療にあたったりもできます。
とくに大学病院では希少疾患の研究や治験も実施されるため、臨床だけでなく日本の医療の発展のための研究に携わることもできます。
緊急対応や宿当直業務など、内科の勤務医は比較的労働負担が大きい反面、後述の開業医と比べると年収は劣る傾向にあります。
開業医の場合
内科を標榜する開業医の平均年収は、『医療経済実態調査』から読み取ることができます。先述の勤務医のデータと同時期で比較してみましょう。2011年(第18回調査)の平均年収額(損益差額)は2,539万円*7、2025年(第25回調査)では約2,450万円*6となっており、いずれも勤務医の平均年収を大きく上回っています。
内科の開業医の主な業務内容は、ジェネラリストとして地域の患者さんの体の不調に幅広く寄り添うことです。患者さんが最初に頼るゲートキーパーであり、高血圧や糖尿病などの管理はもちろん、専門的な治療が必要な場合は高度医療機関へ紹介することも重要な役割です。
年収が高い背景として、こうした日常診療に加え、院長の業務である医療スタッフの確保や設備投資など、クリニック経営に伴う負担もあることは、理解しておくべきでしょう。
キャリアに合わせて選べる、内科医の多彩な働き方と年収の傾向
続いて、内科医の代表的な職場である①有床医療機関、②無床医療機関、③介護保険施設、④健診業務について、働き方と年収の傾向を見ていきましょう。
①有床医療機関
有床医療機関とは、大学病院や市中病院など、入院可能な病床を有する医療機関です。入院中の患者さんはもちろんのこと、外来診療も受け持ちます。
当直業務も定期的に生じるほか、職場にいない時間帯も呼び出しに応じて職場に直行する「待機当番」もあり、まさに多忙な職場と言えるでしょう。忙しさで心身ともに厳しい環境ですが、時間外手当や日当直手当が支給されるため、給与は高い傾向にあります。
こうした環境は、2024年度以降に本格的に運用が始まった「医師の働き方改革」で見直されつつあります。同時に、労働時間に上限が設けられることで、年収は下がってしまう可能性があります。働き方改革の内容を理解し、自分の労働や年収に与える影響も把握しておきましょう。
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②無床医療機関
無床医療機関とは、ベッドをはじめとする入院設備がない医療機関です。小規模なクリニックなどが該当します。
外来診療を主体とし、必要に応じて往診を実施することもあります。
当直業務や待機当番などはないため、ワーク・ライフ・バランスを形成しやすい職場環境と言えるでしょう。
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③介護保険施設
介護保険施設とは、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(療養病床)など、介護保険サービスとして利用できる公的施設です。医師を配置することが義務付けられています。
今後高齢化がさらに進み、介護保険施設の増加が予想されることを考えると、内科領域を幅広くカバーできる内科医は、より求められるようになるでしょう。勤務先候補として視野に入れると良さそうです。
具体的な業務内容は、施設と業務内容によって異なります。利用者の診察や急変に対応できるよう当直業務やオンコールを担当することもあり、給与や待遇は千差万別です。
「介護老人保健施設」とは?老健で医師として働く
④健診業務
健診業務も、内科医の仕事の一つです。春や秋などは健康診断シーズンであり、各医療機関で求人を出すことも多いため、単発でのアルバイト経験がある方も多いのではないでしょうか。
健診業務はアルバイトだけでなく、非常勤勤務や健診センターでの常勤など、雇用形態はさまざまです。
当直業務がなく、勤務時間も決まっているため、プライベートの充実をはかりやすいでしょう。
給与は医師の平均水準よりも低い傾向にあると言われます。しかし内視鏡操作など、健診業務に役立つスキルや資格を保有している場合は好待遇になりやすいため、積極的にアピールしましょう。
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内科医として年収アップを目指すには

自身の年収と平均年収を比較して、さらなる年収アップを考える方も少なくないでしょう。ここからは年収アップに向けた具体的な選択肢をご紹介します。
開業する
上述のとおり、開業医の平均年収は勤務医の平均年収を大きく上回るため、開業することで年収アップを目指せます。自身の診療スキルに自信があれば、良い選択肢と言えるでしょう。
年収面だけでなく、医療に対する姿勢や診療方針などの一切を自身の裁量で決定できる点が魅力です。
一方で、開業には多額の初期投資が必要です。経営次第では赤字が膨らみ、借金のリスクもあることに注意と覚悟が必要です。
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非常勤でアルバイトをする
非常勤でアルバイトなどをすることも、年収アップのスタンダードな選択肢です。本業の忙しさなど、自身の状況に応じて働き方を選びやすいことから、多くの医師が実施しています。
とくに毎週特定の曜日に勤務する「定期非常勤」や、ワクチン接種対応や療養型病院での当直勤務などの「単発(スポット)アルバイト」は、一般的なアルバイトと比べると高額です。
ただし、休日を削って働くため、体力面での負担が大きいほか、現場での人間関係構築にも時間がかかり、精神的負担になる可能性があることは覚えておきましょう。働き方改革の下、所属先によってはアルバイトの労働時間をより厳密に管理するケースがある点にも注意が必要です。
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年収レンジの高い地域・医療機関に転職する
今の職場より年収レンジの高い医療機関へ転職することも一つの手段です。
上述のとおり、年収傾向には地域差があり、北に向かうほど高い傾向があるため、IターンやUターンを検討するのも良いでしょう。医師不足が深刻な地域では、人材確保のために高待遇の求人を用意している医療機関も多くあります。交渉次第でさらなる高待遇を引き出せるかもしれません。悩んだときは、医師専門の転職コンサルタントへの相談も検討してみましょう。
医師のUターン・Iターン転職!気をつけたいポイントを解説
まとめ:将来のキャリアを見据えた職場選びを

今回は内科医の平均年収について分析しました。同じ内科医でも、年収はどんな職場でどのような業務を担当するかによって大きく変わります。職場を選ぶ際は、ご自身が仕事に対して何を求めるのか、これからどんな医師になっていきたいのか、十分検討した上で決定することが大切です。このコラムが、内科医の先生方のキャリアを考える際にお役に立てば幸いです。
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