「医師として2026年以降の将来性が見通しにくいと感じている」
「医師を目指しているが、将来に不安がある。どのようなキャリア戦略を立てればいいのかわからない」
厚生労働省が発表した2026年の医療法改正によって、医師免許があれば安泰という神話が揺らぎつつあります。これからの時代に求められる医師の姿を模索している先生もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、多くの先生や採用担当者と関わってきたドクタービジョンの転職コンサルタントが「医師の将来性」を解説します。「今後10年で需要が伸び続けるであろう領域」や「次に磨くべきスキル」「将来性の高いキャリアへ転換する方法」も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
<この記事でわかること>
- 2026年以降に将来性が変わる診療科・働き方の傾向
- 今後10年で需要が伸び続ける医療領域と求められるスキル
- 将来性の高いキャリアへ移行するための具体的な方法

アドバイザー:H.M
2020年入社 担当エリア:関西
医療法改正を踏まえた2026年以降の医師の現実と将来性

2026年現在、医師の将来性は大きく変わりつつあります。どのような点が影響を与えているのか、まずは以下に分けて詳しく解説します。
- 「医師免許があれば安泰」という認識の変化
- AI・デジタル化と医師余りの影響
- 診療報酬改定が医師の働き方に与える変化
- 都市部と地方での将来性の二極化
「医師免許があれば安泰」という認識の変化
「医師免許さえあれば一生食べていける」という認識は、少しずつ修正が必要になり始めています。医師全体の数は増加傾向にある一方、医療機関の経営環境は厳しさを増しているためです。「どこで働くか」「何ができるか」によって医師のキャリアの安定度に大きな差が生まれつつあります。
厚生労働省「医師の需給推計について」の推計では、医師の総数は2033年ごろに需要と供給が均衡し「医師不足」が解消される見通しが示されています。その後は人口減少により必要な医師数が減り、医師が余る状況になるとされています。
また診療科別に見ると、皮膚科や精神科などではすでに医療ニーズに対して医師数が過剰になっている状況も示されており、「資格があるから大丈夫」という受け身の姿勢では通じなくなりつつあります。
これらの点から、「医師免許があれば安泰」から「自分の価値をどう高めるか」という能動的なキャリア設計へと意識を転換できるかが、将来の安定につながると考えた方が良いでしょう。
AI・デジタル化と医師余りの影響
AIの進化が医療現場に与える影響として、画像診断・病理診断・データ解析などの特定領域では、補助的なツールとしての活用が進んでいる点も挙げられます。AIの普及が、医師の業務の一部を代替する可能性があるとも指摘されています。
一方で、患者さまごとに異なる複雑な症例の判断・手技を伴う診療といった領域は、AIには代替しにくい業務です。AIの活用が進む中で、「AIを使いこなす医師」と「AIに仕事を奪われる医師」に分かれていくとも予測されています。
こうした点を鑑みるに、デジタル化を脅威としてではなく、今後は自分の診療の質を高めるためのツールとして捉える視点が重要になるでしょう。
診療報酬改定が医師の働き方に与える変化
2024年度・2026年度と続く診療報酬改定は、病院経営と医師の働き方に直接的な影響を与えています。改定のたびに評価される診療行為・加算の対象が変化するため、特定の業務に特化した働き方はリスクを伴うと認識しておいた方が良いでしょう。
例えば、2024年に施行された医師の働き方改革では、時間外労働の上限規制が設けられました。長時間労働・当直手当による収入上乗せで年収を維持していた先生の中には、実質的な収入減に直面しているケースも見られます。
手当込みで年収を維持するという構造が変わりつつある中で、基本給や専門性に基づいた収入設計を考え直す必要性が高まっていると言えるでしょう。

こうした制度の変化の影響を特に受けているのが、循環器内科や消化器外科です。転職相談の現場では、これらの科で働く医師から「現職のままでは負担が増え続ける」という声が増えています。
循環器内科では、手術と同等の負荷を伴うカテーテル治療が内科扱いになることが多く、救急対応・当直の頻度も高い傾向にあります。そのため、医局に所属している医師の方が、業務負担の面でより厳しい状況に置かれやすいとされています。当直中も日勤と同等の忙しさが続くケースもあり、働き方改革の上限規制と実態のギャップが大きくなりやすい診療科の1つです。
一方の消化器外科では、外科医不足を背景に、しわ寄せが一部の医師に集中する状況が生まれています。
こうした状況は、特定の診療科の価値が下がっているのではなく、働き方の構造的な見直しが必要な診療科が顕在化しているとも考えられます。
都市部と地方での将来性の二極化
医師の将来性を考えるうえで見落とせないのが、地域格差と「どこで働くか」という問題です。
都市部では医師の供給が需要を上回る診療科も出てきている一方、地方では依然として医師不足が深刻であり、求人に対して応募者が集まりにくい状況が続いています。こうした需給のギャップは、年収水準にも直結しています。実際、私たちがご案内する求人でも、同じ専門医資格を持ちながら、都市部のクリニックと地方の基幹病院とで提示年収に数百万円単位の差が生まれるケースは珍しくありません。
都市部での競争に埋もれるリスクと地方での高待遇・希少価値。どちらを選ぶかは、これからのキャリア戦略を考えるうえで、重要な視点になっていくでしょう。
今後10年で需要が伸び続けると予測される領域とスキル

医師の将来性への不安が指摘される中、今後10年で需要が伸び続けるだろうと予測されている領域やスキルもあります。
- 【領域】在宅医療・訪問診療
- 【領域】予防医学・健康管理
- 【スキル】高度専門スキル
- 【スキル】マネジメント能力
【領域】在宅医療・訪問診療
高齢化の進行と病床削減の方針を背景に、在宅医療・訪問診療の需要は今後も拡大が見込まれています。現状でも求人数は増加しているものの、対応できる医師の絶対数が不足している領域の1つです。

特に訪問診療では、内科系の医師であっても外科的処置(バルーン交換・カテーテル管理など)を求められる場面があり、AIには代替できない手技のスキルを持った医師が即戦力として評価される傾向にあります。
非常勤でも訪問診療の経験を積んでいるかどうかが、今後、希少価値の高い医師になれるかどうかの大きな差になるとも考えられます。将来的に訪問診療がトレンドになった時のために今のうちから少しずつ経験を積んでおくことが、10年後のキャリアの選択肢を広げることに繋がります。
【領域】予防医学・健康管理
企業の健康経営への関心が高まる中、産業医・健診医・予防医学専門家の需要にも期待ができます。臨床の最前線から離れても、医師としての知識と経験を活かせる領域として、ワーク・ライフ・バランスを重視したい先生に選ばれやすい分野の1つです。
また、国が予防医療の推進を施策として打ち出しており、健康診断・生活習慣病管理・精神的健康支援といった領域への需要は今後も拡大が見込まれます。
認定産業医資格の取得は、臨床以外のキャリアオプションを広げる意味でも、早めに検討しておく価値があるでしょう。
【スキル】高度専門スキル
がん化学療法・感染制御・緩和ケア・認知症診療など、社会的な需要が高まっている領域では、転職市場において、これらの専門資格と実績を持つ医師の希少価値は、依然として圧倒的に高い状態が維持されています。
専門性が高すぎると転職の選択肢が狭まるという懸念を持つ先生もいらっしゃいますが、需要が安定している領域の希少スキルは、むしろ好条件の求人にアクセスしやすくなります。
自分の専門性が市場のどのニーズと合致しているかを定期的に確認することが、2026年以降は特に重要になってくるでしょう。
【スキル】マネジメント能力
診療能力に加えてマネジメントスキルを持つ医師の需要は、医療機関の経営環境が複雑化する中で高まっているとされています。特に、管理職ポジションでは、臨床経験だけでは得にくい視点を持った医師が求められる傾向にあります。
中でも、チームの運営・スタッフの育成・経営指標の管理など、医師兼マネージャーとしての役割を担える先生は、転職市場での選択肢が広がりやすい人材の1つです。
役職手当による収入上乗せも見込めるため、年収の観点からもマネジメントポジションを目指すことは有効な戦略と言えるでしょう。
将来性の高い医師が身につけているスキル

医師という職業において、将来にわたって第一線で活躍し続ける方と、時代の変化の中で苦境に立たされる方との二極化が進んでいます。将来性の高い医師になるためには、以下のようなスキルを身に付けておくとよいでしょう。
- 専門医+αのサブスペシャリティ戦略
- デジタルヘルス・遠隔医療への対応力
- 複数の収入源を確保する働き方設計
- 市場価値を高め続ける学習姿勢
専門医+αのサブスペシャリティ戦略
将来性の高い先生のキャリアに共通しているのが、「専門医資格+αのサブスペシャリティ」を持っているという点です。専門医資格が「医療への入場券」とすれば、サブスペシャリティはその先生にしかできない価値を生み出す「差別化」と言えます。
具体的な組み合わせには、「内科専門医×訪問診療の実務経験」「外科専門医×感染制御認定」「精神科専門医×産業医」などが挙げられます。
2つの専門性を掛け合わせることで、どちらか一方しか持たない先生と比べて求人の選択肢が広がり、条件交渉でも有利な立場に立ちやすくなるでしょう。

キャリアチェンジやサブスペシャリティを取得することに対して「今のスキルを捨てることになるのでは」と不安を感じる先生も多くいらっしゃいます。しかし、これまでのスキルが無駄になることはないと考えていただいてよいでしょう。
例えば訪問診療では高度ながん診療の経験が必須と思われがちですが、実際は褥瘡(床ずれ)の処置やカテーテル管理といった「日々の臨床で培われた基本スキル」こそが現場を支える要とも言え、挑戦のハードルは決して高くありません。
ドクタービジョンでは「未経験歓迎」をはじめとした豊富な求人ラインナップを揃えています。先生一人ひとりのスキルをどう「+α」の武器に変換するか、キャリアの棚卸しから今後の市場傾向を踏まえたキャリアプラン作成もご支援いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
デジタルヘルス・遠隔医療への対応力
将来性の高い先生が身につけているスキルとして、デジタルヘルス・遠隔医療への対応力も挙げられます。
2026年現在、オンライン診療・遠隔モニタリング・電子カルテの高度活用など、医療のデジタル化は今後さらに加速すると見込まれています。こうした変化に対応できる先生と、そうでない先生とでは、活躍できる職場の幅に差が生まれていくでしょう。
これらの経験を積んでおくことで、今後の市場価値を高められる可能性があります。求人の必須条件を満たせるかにも繋がるため、デジタル技術には対応できる状態にしておきましょう。
ただし、オンライン診療は人気の求人でなかなか出回らないため、希望がある場合は早めに転職コンサルタントに伝えておくことが重要です。事前に希望を共有しておくことで、新着情報が入った際に優先的に連絡をもらえる可能性があります。
複数の収入源を確保する働き方設計
常勤している医療機関に依存するのではなく、非常勤の掛け持ち・オンライン診療・産業医兼任など、本業以外に収入の柱を持つ働き方は、特定の医療機関への依存度を下げ、リスク分散につながります。
特に、働き方改革によって常勤の超過勤務が制限される中、実際に20代・30代の若手医師の先生から「定期非常勤を組み合わせたい」という具体的なご相談をいただくケースが目に見えて増えています。
収入の多様化は、複数の職場での経験がスキルの幅を広げるという副次的な効果も期待できます。前述したサブスペシャリティ戦略やデジタルヘルスへの対応にもつながるため、将来のキャリアを見越して、どのような働き方をしたいのかがポイントになるでしょう。
市場価値を高め続ける学習姿勢
将来性の高い先生に共通しているのは、今のスキルで十分という思考を持たず、継続的に学び続ける姿勢であり、長期的な市場価値の維持にもつながります。
学習方法は、学会参加や論文読解に限りません。異なる職場での経験・他科の医師との交流・転職コンサルタントを通じた市場情報の収集なども含まれます。キャリアの停滞を防ぐためにも、自分の価値が今どこにあるかを定期的に外部の視点から確認することをおすすめします。
医師が将来性の高いキャリアへ転換する方法

現在のキャリアから、より将来性の高いキャリアへ転換したいと考えている先生もいるでしょう。そのような場合、以下の方法を参考にしてみてください。
- キャリアチェンジに適したタイミング
- 10年後を見据えたスキル習得計画の立て方
- 転職コンサルタントによる最新の市場データに基づくアドバイス
キャリアチェンジに適したタイミング
将来性の高い領域へのキャリアチェンジは、思い立ったときが適したタイミングと言われますが、年齢やライフステージによって現実的な選択肢が変わってきます。
例えば、吸収力や柔軟性が高く評価される30代であれば、産業医や美容医療など未経験領域へのキャリアチェンジも十分に受け入れられる可能性があります。
一方、40代~50代となると即戦力としての期待値が高まるため、完全な未経験領域への挑戦はハードルが上がります。しかし「急性期での経験を活かして訪問診療へ移る」「専門医資格を強みに療養型病院で新たなキャリアを積む」といったように、これまでの臨床経験を軸にしたキャリアチェンジであれば、むしろ長年のスキルが大きな武器となります。
今の職場でもう少し頑張ってからと先延ばしにしている間に、希望する領域の求人が埋まってしまうリスクもあります。
転職市場の動向は、刻々と変化しています。2026年の診療報酬改定を背景とした求人増加の波が落ち着く前に動き出せるかが、選択肢を広げるうえで有効な戦略の1つです。
10年後を見据えたスキル習得計画の立て方
10年後のキャリアを見据えたスキル習得計画は、現在の勤務状況と照らし合わせながら「何を・いつまでに・どのように身につけるか」を具体化することから始まります。目標が漠然としたままでは、日々の業務に追われるうちに時間だけが経過してしまうリスクがあるためです。
計画を立てる際には、「10年後に何ができる医師でいたいか」という問いを起点にしましょう。そこから逆算して、今年度中に取得すべき資格・来年度に経験を積むべき業務・3年以内に移行すべき職場環境といった具体的なステップを設定していくと、計画に現実味が生まれやすくなります。
あまり長い未来を漠然と描くだけでは現実味がなくなるので、5年後などイメージしやすい未来を中継地点として設定し、具体的な計画を立てていきましょう。

10年後の計画を具体化するには、転職コンサルタントを介して「自身の市場価値」を客観的に把握することが大切です。
具体的には「自分と似た経歴の医師がどのような道を選んだか」実例を確認しましょう。特に初めての転職を検討されている先生や、今後のキャリアに漠然とした不安を抱える先生にとって、市況を知ることはキャリアを考えるうえで大変重要です。
また、希望している条件を実際に叶えた医師の「キャリアチェンジの軌跡」を知れば、それが自身の「転職の軸」となり、転職コンサルタントからの提案も希望に沿ったものに近づきやすくなります。
「今すぐ転職するつもりはないが、自分の市場価値を確認したい」という段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
医師の将来性は戦略的キャリア構築で切り拓こう

医師の将来性は、「免許を持っているだけで安泰」という時代から、「何ができるか・どこで働くか・どう備えるか」によって大きく変わる時代に移行しつつあります。AIの進化・診療報酬改定・働き方改革・地域格差といった変化は、受け身の先生にとっては脅威になる一方で、戦略的に動く先生にとっては大きなチャンスです。
将来性の高いキャリアを築くためにも「今の自分に何ができるか」を客観的に把握し、少しずつ準備を積み重ねていきましょう。訪問診療の経験を週1日から始めたり、自分の市場価値を専門家に確認してもらったりなど、小さな一歩の積み重ねが10年後のキャリアの安定につながるでしょう。
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